頭の中

匂わないシルエット

*** あいつが狂っているって? 冗談じゃない 目はしっかり開いてたぜ あの子がイカれているって? 何を言ってるんだ 繊細で鋭いだけだろ 存在が浮いていると笑われても 好きにさせておけばいい 無理に溶け込み泳いでも いつかは溺れてしまうからね 「気味…

自分のケツは、自分で拭きます 〈高岡ヨシ + 大関いずみ〉

「おーい、君ぃー! 聞こえるかー? そんなとこで、何してるんだー?」 「あっ! お勤めごくろうさまです! あのー! わざわざ来てもらって悪いんですが、間に合ってまーす!」 「いやー、えっ? 間に合ってるって、何だろうなー? とにかくさー、そこ危ない…

ねぇ、知ってる? 〈高岡ヨシ + ミチコオノ〉

ねぇ、知ってる? あの子のお母さん、PTAの会長さんとできてるらしいのよ ねぇ、知ってる? あの子の家の弟さん、やっぱり変なんですって ねぇ、知ってる? あの子のお母さんの出処、どうも橋の向こうの地区らしいのよ ねぇ、知ってる? あの子のお父さんの…

「七日後」の秘密 (高岡ヨシ + 大関いずみ)

「急に呼び出してごめん」 「うん。いいけど、誰もいないよね」 「誰もって?」 「ヤマカワさんとか」 「大丈夫。いない、いない」 「本当に? 倉庫なんかに呼び出すから、構えちゃったよ」 「ごめんね」 「いいよ、いいよ。それよりさ、月曜どうだった? や…

ラジオネーム・放課後のジェットリー 

「さっきの電話、意味わかんねぇよ。一応買ってきたけど、何でケーキが必要なの?」 「話した通りだよ。大切なイベントだから、非日常アイテムが必要なんだよ」 「それで、何でケーキなの? お前、甘いもの食えないじゃん」 「いいんだよ、なんだって。雰囲…

全部ひっくるめて、楽しい

触れようと、もがく 創り出そうと、もがく そうやって グシャグシャになってするもがきは、楽しい ソファーで寝落ちして、朝を迎える 鳥がさえずる前に、ネコが顔を踏む コーヒーをいれていると、ネコが足を踏む 頭と背中が重いけど、楽しくって仕方がない …

瞬間をください

何色でもいい 見た目はそれほど重要じゃない 変な服を着たっていいよ 君がそれを好きならばね 待ち合わせは駅の前 遅刻した埋め合わせは ハーゲンダッツでいいかな? 髪切った? え、切ってない? ごめん ごめん セットが面倒なら 思い切って短くしちゃえば…

夏をやってない

ハッとして目を覚まし 通りに近い窓を開ける 緑を覆う色あせた枯れ葉 喉に飛び込む息は冷たい 薄く横に伸びる雲 縦に登れず空を這う 確かにここにあった夏 それなのに 僕は夏をやってない バケツに飛び込む手持ち花火 生み出す音が夜を鎮める 咲き終わりに残…

「生きづらさ」というクソッタレ

難しい表現はいらない 簡単な言葉で伝えてくれ 物言わぬ羊の飼育法 それが道徳の正体か? 出来る限りはやってきた 疑問を持たずにやってきた モラルが楽園を作るんだろ? じゃあ 何でこんなに生きづらいんだ いじめに対して声を上げ 標的にされたら世話がな…

友への伝言

思えば不思議な関係だった 普段は口もきかなかった チャイムの合図で狩られる時間 終わりは意味を成さなかった 暗い階段の途中に射す光 窓から覗く中庭に射す光 同じ校内で息をしても そこに楽園はなかった お前はいつも下を向いて 指のささくれを取ってた …

ちょっと待ってくれないか (『私が私をやめたなら』収録作品)

自分はAmazonのKindleストアで「私が私をやめたなら」という電子書籍を販売しております。 私が私をやめたなら 作者: 高岡ヨシ 出版社/メーカー: YOMA CREATIONS 発売日: 2017/04/26 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 頭の中にある想いを書き…

橋の上の神様

僕は「場所」を探していた。 昼が昼でなくなり、夜が夜でなくなった日を随分長く過ごしたせいで、右も左も分からなくなっていた。 締め切った窓。 肌に纏わり付くTシャツ。 通販番組の司会者が大きな声を上げた時、「もう終わりにしよう」と心が言った。 ビ…

心の歌

目隠しされても笑って歩く 俺の視界を奪っても 本質だけは奪えない 触れられない いや 触れさせない いくらでも笑え いくらでも指をさせ 頭の数だけ増やしても お前の戯言は響かない 上だろうが下だろうが構わない 俺はとにかく進んでいく 昼が嫌なら夜を待…

アーティフィシャル・フラワーズ 《後編》

「だからよ、何でセリフを言うときに眉毛が上がるんだよ。それじゃあ演技が嘘くさくなっちまうじゃねぇか」 口に含んだ煙を上へ吐き出したチャーさんは、タバコの先をワタル君へと向けた。 「え? 上げてないですって! チャーさんの見間違えですよ。ていう…

アーティフィシャル・フラワーズ 《前編》

8時は越えたか? いや、まだ壁に光があるから、7時半過ぎか? だとしたら、2時半前に寝たとして、約5時間。 枕の横で背中を見せている電話をひっくり返し、手探りでホームボタンを押す。 ( 7:04) 7時4分。 勘弁してほしい。 最後の1杯。 あの冷…

深海にあるもの

上へ登った 違う景色が見たかったから いつもとは違う選択をした 服が変わり 立場が変わり 呼び名が変わった 笑顔の挨拶 穏やかな声 湯気が出ているコーヒー 窓から差し込む光は眩しい でも この部屋は息をしていない 能力と肩書きは比例しない ここに来てそ…

ノスタルジア

引っ越す背中を強く押す 透き通った緋色の夕焼け 僕が歩いていたその道は 二度と戻らない道となる 借り物の街で見上げた星は 電車の窓に映った花火 めいっぱい腕を伸ばしても 決してこの手に掴めない 大洋ホエールズの帽子を被った 緑のクリームソーダのあの…

答えてよ

僕はあなたを笑わない ずっと笑われてきたから 決してあなたを笑わない ねぇ もっと自由に踊ってよ 心置きなく 好きな円を描いて たとえ姿が見えなくても 背中に手を当てるから やりたいように息をして 僕はあなたをバカにしない ずっとバカにされてきたから…

西口ターミナルと後ろ姿

緑奥駅の西口改札を出て左に進み、エスカレーターを避けて長いスロープを歩いておりる。 地面から天井まで伸びる透明な窓が続く、緩やかな斜面。 日が完全に沈みきった後、このスロープから大きなバスターミナルを眺めるのが好きだった。 程よい暗さが溢れた…

いじめサバイバー

僕はサバイバー 生きるために背中を見せた いじめサバイバー 僕はサバイバー 立ち向かう勇気を持てなかった いじめサバイバー 僕は逃げた 生きていたいから 逃げ続けた 後ろを振り返らず 目を瞑りただ走った 出来るだけ遠くへ 手が届かないほど深くへ 追いつ…

衝動は、ここにいる

クリップで留めた感情は 夜を越えない 湧き上がる衝動と会話がしたいから 柔らかいクッションは取っ払った 遠慮なく飛び込む刺激は たまに痛いほどだけど とにかく朝を迎えたかった 喜怒哀楽に 邪と欲 そのままの形で出てきた思いに 自分の全てをぶつけたい …

空ではなかった

「あれは空だ」 ずっと長い間 その言葉を信じてきた 当たり前のように植え付けられた常識を 疑った事なんてなかった 2017年 6月15日 遠く見上げた先にあるものは とてつもなく大きな手のひら 青く着飾っているけれど あれは空ではない 頭のおかしな人…

届いて欲しいお知らせ(追記しました)

本日から来週の月曜日までの間、Amazon Kindle ストアで販売している自分の電子書籍「五厘クラブ」の無料ダウンロードキャンペーンを行います。 この作品は、自分にとって特別なもので、強い思い入れがあります。 幾つかアイデアはあったのですが、一番初め…

こんな場所が欲しかった

ずっと前から こんな場所が欲しかった ただ顔を合わせるだけでは 目にする事が出来ない世界 挨拶を交わすだけでは 晒してはくれない世界 何を思い 何を考え 何を表現するのか 頭と心にある世界を 電波に乗せて表に出し合い 生まれた感覚を交差させる ずっと…

取っ払う

枠には入れなかった 入らなかったのではない 入れなかったのだ はじき出されて 何を想う 普通を横目に 何を想う 付いたレッテルはどうでもいい それが意味をなさない事は ここまで生きて身に染みた 付けられたレッテルも気にしない そんなものは 他人にひと…

茜橋で待ってます《後編》

「大学おめでとう。おばさんから聞いたよ。何で直接教えてくれなかったの?」 久しぶりに顔を合わせたエミちゃんは、いつもそうしているように小声で俺に話しかけた。 「ごめん。なかなか言うチャンスがなくて。最近バイトも被らなかったし」 2月半ばの登校…

茜橋で待ってます《前編》

茜橋で待ってます 今夜、7と共にいた数字の時に 茜橋で待ってます 白いコピー用紙にプリントされた文字。 週に1回、決まって水曜日に投函されるこの紙を見るのは、これで3度目だ。 何が目的かは分からないが、入れたヤツの目処はだいたい立っている。 ど…

白いアルバム

「明日、仕事がないやつは朝までな」 テーブルの上にビールを置いたコースケは、母屋に向けて手を合わせ、いつものように白い歯を見せた。 亡くなったツヨシの爺さんの意向により、親族席に座ったコースケは、式の間中ずっと泣いていた。 小学校から付き合い…

6172本の物語

その子の放った3ポイントシュートは、リングをかすることなく、ストンとネットに吸い込まれた。 2本立て続け、しかも左右、両サイドからだ。 「あのね、ああいう奴はね、見えている世界が違うんだよ」 体育館すみっこ部の御意見番が腕を組み、相棒の角刈り…

赤が青に変わる瞬間

おぃ、そーた。 そーたっ! おぃっ! こっち来てみろ。 いいからっ! とにかくこっち来いって。 また母ちゃんの事でからかわれたんか? そんじゃあ、麦茶、飲むか? キンキンに冷えたのがあるからよ。 おぃ、そーた。 分かってると思うが、おめぇは何にも悪…

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