子供の頃に見た正月みたいな風景

オンタリオ州の緊急事態宣言が発令されてから今日で1ヶ月と18日。4日間の休みが取れたので、念願だった散歩に出た。

政府からの通達に従い、身分証明書を携帯してウォーキングシューズを履く。

天気は雲が散らばる晴れ。気温10度。歩いて5分程の距離にあるメインストリートに着くと、子供の頃に見た正月みたいな風景が広がっていた。

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ご覧の通り、繁華街の機能は停止している。辺りに人がいないわけではないが、まばら。なので自動的にソーシャルディスタンスを保てている。

この街に移って13年経つが、こんなにも人が少ない繁華街を見たことがない。

道沿いの店舗は全て閉まっているのにも関わらず、週末は人が来ているという話を耳にするので、月曜日の昼下がりという要素も手伝っての風景なのだろう。

 

メインストリートの坂を下って滝に近づいても、状況は一緒だった。

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アメリカ滝もカナダ滝も変わらずそこにあるのだが、その周りにあった人混みとビジネスが何かのイリュージョンのように消えた。

 

COVID-19が世界を包んで、私の生活は変わった。もちろん、私だけの話ではないのだが、私が一番よく知っている私の生活が変わった。

消毒液の匂いに囲まれていると頭痛を起こすのだと知ったのは、この騒動がきっかけだったし、労働そのものに対しての疑問を持ち始めたのも、この混乱がきっかけだった。

「雲を掴むよう」とはよく言ったもので、今現在、自分を取り巻く様々なものがおぼろげな状態になっている。そわそわしていて落ち着かない。ふわっふわしていて決められない。まるで、大戸屋のメニューを前にしている気分だ。

定まらない思いが淡い雲のようだとしても、どうせならもっと濃く、欲を言うなら綿アメみたいに甘ければ悩む必要などないのだろう。食べれるようだったら食べてしまえばいいんだし、口の中で溶かしてしまうことだってできる。

右脳と左脳を動員し、「どう思う」「どうだろう」を繰り返しても答えは出ない。答えが出ないから続けて歩く。

 

この時期、アメリカとの国境も商用配達トラック以外は封鎖されているので、観光目的での入国が主なレインボーブリッジは閑散としている。

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ある程度長く住んでいるのだが、上の画像の右側にある高架下をくぐったことがなかったので、行ってみることにした。

入り口を撮り忘れたが、中の様子はこんな感じ。

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最高だった。

柱がいい。連なる柱がいい。ズンって伸びる柱、最高。

 

高架下を抜けた先に佇むアイスクリームの看板。トリプルポーションがこの国の気質を象徴している。

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写真の順序が前後するが、橋の手前にある公園にもひと家族がいるだけだった。

時間制限なしの貸切公園。後ろが詰まっていない安心感。気を使って早風呂することもない。

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個人的な見解だが、人がいないと成り立たない風景があると思う。

人馴れしている場面と言うべきか。

それはかつて、人との距離が近かったものほど大きな違和感を覚え、その建物単体だと嘘みたいになってしまうのだ。

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ほら、やっぱり嘘みたいだ。

 

車が走らない道路。雑草扱いされ忌み嫌われるたんぽぽも咲き放題。

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誰かが損をすると誰かが得をする法則は、この状況でも変わらないみたいだ。

 

COVID-19に意味があるとすれば、私にとってそれは、ラーの鏡だ。

サマンオサのニセモノ王よろしく、その対象が人であろうが会社であろうが街であろうが、バッサバッサと化けの皮を剥がし、隠されている正体を暴いていく。

自分自身を含め、本性を晒されたらきっと元には戻れないのだろう。

その時に直視するものが、本来の姿なのだから。

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