ミチコオノという時間があった(パート1)

誰もが知っている通り、楽しい時間はあっという間に終わる。

水曜7時のドラゴンボールも、ドラえもん音頭が流れていた夏祭りも、深夜のファミレスで話し込んだ時間も、冗談みたいな速さで過ぎていき、気が付いた時には何事もなかったかのようにいつもの日常に引き戻されるのだ。

それは、ミチコオノという時間も同じだった。

 

今から約2年半前、私の生活にはミチコオノという時間があった。

はてなブログに突如として現れた超新星。一昔前のスカウトキャラバンのコピーみたいに感じるが、私にとってミチコオノ氏のブログ「ミチコオノ日記」は、まさにその大袈裟に聞こえるキャッチコピーそのものだった。

私とミチコオノ日記との出会いは、13話が始まりだった。

この話を読んだ感想は、ヤバい、だった。

リンクに飛んで頂ければ分かると思うのだが、とにかくヤバかった。感覚的に言うと、「おぉ」や「うわぁ」といった感嘆詞で頭が埋め尽くされた。

私はこの13話で、タイトルにもなっているジン君と出会った。

國分 仁
両親がヒッピーで
一輪車で買い物に行く様な人達
家は一週間の献立が決まっていて
テレビがない
当然 ジン君も 一風変わっている

作中に書かれている人物設定もとんでもないが、ジッとこちらを見据える姿もとんでもなくて、その突き刺してくるような目に吸い寄せられた。

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何度見ても、やっぱりとんでもない。

ちなみに彼は毎年文化祭の日に、校舎裏にある非常階段の1番下で、訪れた生徒に一対一でお話をしている(作中には寄席のような、と説明があった)。

以下がそのお話の内容だ。

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何だこれ、と感じるのは正常な反応だと思う。ここに書かれている①から④は、何だこれ以外の何物でもない。

この作品の主人公であるオノミチコは、③の話を選んだ。ジン君曰く、彼女は当たりを引いたらしい。

詳しいお話の内容はリンク先で確認してほしいが、率直に言うと、ぶっ飛んでいた。

躊躇なくぶっ飛んでいて、とても清々しかった。

とんでもないものを見ると嬉しくなる。自分では表現できない世界に触れると楽しくなる。だからきっとドリカムは、うれしいたのしい大好きと歌ったのだろう。その気持ちは心から理解できる。第13話を読んで、私はミチコオノ日記が大好きになり、すぐに読者登録をした。そして当然のように1話に遡ってページを開いたのだが、そこには理解不能な木彫り人形が立っていた。

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わたしの名前は

オノミチコ

中学3年

部活は書道部と

美術部のかけもち

といっても

どっちも

私しか部員がいない

 

今年の卒業アルバムを見れば

理由はなんとなくわかってもらえると思う

正直、意味が分からなかった。なぜなら、私が13話で初めて目にしたオノミチコは木彫りの人形ではなかったからだ。

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何だか怖かった。

彫刻刀でゴリゴリと削ったであろう鼻のない木彫り人形が、少し怖かった。その後も第1話の中でオノミチコは再度トランスフォームした。

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この時点で私は、脳みそのレバーを中央やや左から目一杯右に引いた。

ブルースリーだって、Don't think. Feelって言ってたしな。

第2話でも相変わらずオノミチコはジークンドーの化身だった。

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第2話では、オノミチコの他に2人の人物が登場する。ひとりは野球部のアカバネ君。

アカバネ君は野球部だ

でも試合に出たことがない

補欠の補欠だ

もう受験なんだし

部活に行かなくても
怒られないのに

アカバネ君は 毎日グランドに
に立っていた

怒られても どなられても

アカバネ君はグランドに

立っていた

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もうひとりは、前の年に卒業した元美術部部長、”天才”大関いずみだ。

大関いずみ は天才だった

 

わたしが 美術部だと言えば
「ああ 大関さんの」
と みんな言う
最後の文化祭で

 

大関いずみ は 『伝説 』になった

『天才 大関』

『大関のいた美術部』

卒業してから

部長はさらに神格化されていった

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現美術部唯一の部員であり、部長の主人公オノミチコが思い出す大関いずみの姿は、いつも後ろ姿だった。

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オノミチコがいる学校の美術部では、できあがった作品をロビーに展示している。しかし、大関の後を継いで部長になったオノミチコは、まだ一点も作品を展示したことはないと語っている。

でもわたしは

一点も展示したことがない

「なかなか仕上がりません」

と 嘘をついている

ほんとは

みんなに見られるのがコワイ

情け無い 部長だ

去年の部長は ちがった

 

部長が新作を描きあげると

必ず 展示を手伝いに行った

ロビーは わたしの 聖域だった

でも今 聖域は
ただの 白い壁だ

なにも 飾らなければ

だれも 見ない

ただの 壁だ

壁だから 何も言われない

言われないから

傷つかない

壁だ

その何もない壁を、野球部のアカバネ君が見つめている。

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第2話は短い話だが、印象に残る場面が多かった。

***

この世の中には、心が踊る言葉が存在する。

何と言うか、その言葉に付随するイメージや記憶を追いかけることができる言葉たちだ。当ブログを読んでくれている稀有な方なら分かるかもしれないが、それはチェリオやエリーゼだったり、大磯ロングビーチやラジオの深夜番組だったり、神宮寺三郎やシロノワールだったりする。

第13話で人生初遭遇した「ミチコオノ」という言葉は、とても自然に心が踊るリストに加わった。

この先いくつかの話に分けて、嬉しくて楽しくて大好きになったミチコオノ日記と、その世界にまつわる思い出を書き残していこうと思う。

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