瞬間をください

何色でもいい

見た目はそれほど重要じゃない

 

変な服を着たっていいよ

君がそれを好きならばね

 

待ち合わせは駅の前

 

遅刻した埋め合わせは

ハーゲンダッツでいいかな?

 

髪切った?

え、切ってない?

 

ごめん

ごめん

 

セットが面倒なら

思い切って短くしちゃえば?

別に金髪にしたって驚かないよ

似合っても似合わなくても

君が好きならそれでいい

 

バスに乗ろうよ

たまにはいいじゃない

 

友達の話とか

無理にしなくてもいいよ

人付き合いが苦手なのは

僕も同じだから

 

ねぇ

猫ってさ

夜明け前に2回鳴くよね?

ずっと考えていたんだけど

あれはきっと

彼らの「おやすみ」なんだよ

 

1回目は僕に言って

2回目は自分に言ってる

 

本当のところは分からないけど

そう考えてから

夜更かしの回数は減ったんだ

 

ねぇ

いま全く聞いてなかったでしょ?

視線が宙を舞ってたよ

 

例えそうでも構わない

君と居られるならそれでいい

 

くだらない話の埋め合わせは

フラペチーノでいいかな?

 

あのさ

遠足の前の日って

何を思った?

 

楽しみだった?

それとも嫌だった?

 

僕は

正直怖かった

 

何もない毎日だったから

めいっぱい期待して怖かった

 

特別が終わった後の日常は

色が更に薄くなるでしょ?

 

それがとにかく怖くてね

 

「期待」ってさ

何で恐れを連れてくるんだろうね

 

執着が出るから?

終わりが見えるから?

 

今だってそうだ

 

変わらず勝手に期待して

懲りずにひとりで怖くなってる

 

ちょっと待って

 

急で悪いけど

次で降りよう

 

うん

分かってる

 

この場所は

あんまり好きじゃないんだよね

 

僕だって同じだよ

でも

ここで話がしたいんだ

 

 

この場所も建物が増えたね

 

ほら

あそこのコンビニ

覚えてる?

ずっと前は酒屋でさ

あの裏に

雑木林があったでしょ

 

雑草を掻き分けて右に曲がると

大きな石が横たわっていた

いや

お墓じゃないよ

ただの大きな石

でも

何か変でね

たまたま置かれているようには見えなかった

 

大丈夫

怖い話じゃないよ

 

とても不思議だった

何故だか気になって

暇があれば足を運んで

ずっとその石を眺めてた

 

あの石

何処に行っちゃたんだろうね

誰もワケを知らない石

あれは一体

何だったんだろう

 

 

生活にあった不思議って

どんどん無くなっていくよね

 

よく分からない穴だとか

空き家に灯る明かりだとか

あんなに存在感があったのに

手品みたいに一瞬で無くなる

 

きっと

衣替えする街と同じで

順番に布をかけられて

綺麗さっぱり消えていくんだ

 

そうやって

嫌な思い出も

消せたらいいのにね

 

 

帰れなかった校庭で

君は何を見ていた?

 

帰れなかった校庭で

僕は瞬間を見ていた

 

続くものが嫌だから

瞬間だけを見つめていた

 

ずっと考えていたんだけど

過去を許すのって

起きた事を許すって意味じゃないんじゃないかな

 

受け入れるのは

痛さや怒りを飲み込んだ自分

迎えに行くのは

置いてけぼりで放ってた感情

 

もちろん簡単なことじゃない

 

一緒に生きてきた思いは

体の一部になってるからね

 

この街が嫌いでしょ?

ここで過ごした記憶も

好きになれないもんね

 

 

あのさ

これ

 

包装紙は破っていいから

中身を見てくれないか?

 

前に言ってたサイズは

確か8号だったよね

 

希望に添えたか分からないけど

広告の裏に描いてたデザインに

何とか近づけてみたよ

 

 

差し引きゼロにしたいんだ

欲を言うなら少しプラス

 

記憶も

この街も

 

「嫌い」に「好き」を足して

よく混ぜてから引き算して

最終的に

ちょっと「好き」が残る

 

そうしたいんだ

 

これは君のためと

本当言うと

僕のためでもある

 

 

瞬間をください

 

永遠の約束なんていらないから

 

瞬間をください

 

僕がその中に永遠をみるから

 

決して終わることのない

 

瞬間をください

 

 

ちょっと待って

 

いま来るバスに乗ろう

 

ごめん

ごめん

 

急なのは分かってる

でも

とりあえず行こう

 

もうすぐ7時になってしまう

 

チンタラしていた僕が悪いんだけど

君が大好きで仕方がない

ビーフシチューがのってるオムライスの店

もう予約してあるんだ

 

さっきの質問の答えは

そこで聞いてもいいかな?

 

それまでに

僕の期待は消しておくから

 

続きを思って怖くなる

無駄な期待は消しておくから

 

f:id:yoshitakaoka:20171028042521j:plain

© Copyright 2016 - 2018 想像は終わらない : 高岡ヨシ All Rights Reserved.