深海にあるもの

上へ登った

違う景色が見たかったから

いつもとは違う選択をした

 

服が変わり

立場が変わり

呼び名が変わった

 

笑顔の挨拶

穏やかな声

湯気が出ているコーヒー

 

窓から差し込む光は眩しい

でも

この部屋は息をしていない

 

能力と肩書きは比例しない

ここに来てそれを痛感した

 

時計が9時を指し

合図と共に曲がかかる

 

女王蜂に裸の王様

 

踊る僕らは蜜を運び

彼らはそれを平らげる

 

実力なんて関係ない

 

目立たぬように静かに踊り

流れにまかせて取り入るだけ

 

目尻に刻むシワの数は

浮かぶか沈むかの生命線

 

笑って

笑って

笑って

 

この船に残りたいのなら

目を細めて口角を上げればいい

 

差し出すか?

差し出さないか?

 

手招きをする数を増やし

目を閉じた従者が選択を迫る

 

暑くも寒くもない部屋

委ねた先に待つものは

憂いを忘れた理想郷か

 

例えそうだとしても

 

僕は捨てない

 

何かを得るために

何かを捨てはしない

 

全部まとめて取りに行く

その為にここへ来たんだ

 

日が昇っているその間

僕は透明な水になろう

 

青黒い幕が覆った後は

夜に溶け出して海に戻ろう

 

深く

より深く

 

止めた息が続く限り

ひたすら奥へと潜っていく

 

現実を断ち

時間を断ち

しがらみを絶って

内側を潜る

 

暗くて

苦しい

 

それでも構わずに進んでいく

 

時々顔を洗って眠気を覚まし

バタバタしながら意識を潜る

 

そこにあるんだ

 

もう一歩を越えた先

熱くて冷たい線の向こうに

 

心を揺さぶる宝の山が

 

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