ノスタルジア

引っ越す背中を強く押す

透き通った緋色の夕焼け

 

僕が歩いていたその道は

二度と戻らない道となる

 

借り物の街で見上げた星は

電車の窓に映った花火

 

めいっぱい腕を伸ばしても

決してこの手に掴めない

 

大洋ホエールズの帽子を被った

緑のクリームソーダのあの子

 

君は僕を覚えているかな

 

同じ靴ばかり履いていた

掃除をしない放課後のエース

 

僕は君を覚えているよ

 

新しい番号を書いた葉書

君に届かなかったのかな

 

電話が鳴り響くそのたびに

心を躍らせ走ったけど

けっきょく声は聞けなかった

 

「また会えたら遊ぼう」と

君がくれたドンジャラの牌

とうとうゲームは成立しなかったね

 

おーい

おーい

 

僕は君を呼んでいる

 

おーい

おーい

 

過ぎ去った時間を呼んでいる

 

ブルーハワイの扇風機

テレビの上で威張る東京タワー

 

君を想うとあの日が浮かぶ

 

タブレットの魔法がなかった時代

 

「便利」は「距離」を超えなかった

 

手軽に素早く繋がるよりも

ゆっくり記憶に残した世界

 

それが君と僕が遊んだ

遠い日の20世紀だ

 

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