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もう、そこにはいない

頭の中

「思いを果たすまで 許さない」

 

春に咲くヒナゲシ

夏に咲くサルビア

秋に咲くヒガンバナ

冬に咲くサザンカ

 

赤い花の想い出なんかいらない 

そろそろ荷物を降ろしたいんだ

 

「恨みを晴らして」

掴まれた肩の感触が 強く残って消えない

 

十月 教室 ストーブ 畳

何気ない言葉に 意味を持たせないでくれ

 

準備は怠らなかった

道具も揃えて 体も仕上げたよ

 

でも 本当はそこにいたくなかったんだ

 

肩が凝るのも 偏頭痛も

身分不相応の 感情の叫び

「お前じゃ無理だ」って 白いロープに笑われたよ

 

魔法のランプを持つ人に出会ってね

世界が変わってしまったんだ

真っ暗な中に 灯りが見える

不思議なことに 

その光は何をしたって消えないんだ

 

もう 暗闇は怖くない

背伸びをしていた足も いつのまにかツラなくなった

 

あなたを忘れたわけじゃない

何度だって「怒り」が捕まえに来たよ

でも 結局そいつと目を合わせなかった

 

かすんでいた道の その先が見えたから

 

とにかく 必死で逃げたんだ

情けないけど 泣きながら逃げた

辺りはひどく暗くてさ

自分がどこにいるかなんて 全く見当がつかなかった

だから

浮かぶ明かりを目指して 行けるとこまで行ったんだ

方向感覚はなかったけど 前に進んでいることだけは分かったよ

 

時間は随分とかかってしまった

でも

どうにかこうにか ここまでやってきた

こうして表に上げた顔は あの時みたいな作り物じゃないんだ

 

ねぇ 今 そこにいますか? 

私の声は あなたに聞こえていますか?

 

ずっと前から 伝えたかった言葉があります

 

「あなたとの約束は守れない」

 

もう 荷物を降ろしたいのです

 

あなたが託した悔しさも憎しみも

今は体の一部に馴染んでいる

長いこと一緒に生きてきたら 並んで走れるようになってしまった

 

「思いを果たすまで 許さない」

 

あなたは今も 憎悪を燃やしていますか?

私があなたに出来ることは

祈ることです

 

平穏な日々を送れているように

精一杯 祈ることです

 

あなたのことは忘れない

だけど

恨みに人生を捧げない

 

薄暗い中を歩く 赤いカバンを掛けた背中

あなたのことを思い出しても

もう 涙は流さない

でも その代わりに

あなたのことを思い出したら

心の底から祈りを送ろう

 

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(薄い空に映える緑。あなたが幸せでありますように)

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