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「YouはShock」な人々

カナダ 海外生活

「自由」という言葉は、何でもかんでも好き勝手やっていいという意味ではないと、自分は思います。

相手の事を考えず、欲望のままにやりたい放題した先にあるものは、きっとフリーダムユートピアではなく「YouはShock」の歌い出しで始まる、北斗の拳の世界です。

 

大型ホテル、そして大都市からさして離れていない観光地という土地柄か、自分はこれまでに各国のユワシャ(YouはShock)な人々を目にしてきました。

彼らの出身地に特定の偏りはありません。どこの国でもユワシャな方達はいるのです。

ちなみにこちらの同僚に「ユワシャが来た」と言っても、主題歌どころか北斗の拳の存在を知らないので、仕方なしに「ゴッサミアン Gothamian」という隠語を使い、注意を促しています。

ちなみに「ゴッサミアン」というのは造語で、映画バットマンに出てくる、暗く荒廃した街「ゴッサムシティ」に住んでいそうな人々という意味です。

ユワシャな人々を形容するのに確かにピッタリなのですが、自分のイメージはアニメ第1話に登場するモヒカンの暴れんぼう集団Z(ジード)で固まっているので、ここではユワシャで統一したいと思います。

レストランとホテルで約10年。その間に出会ってきたユワシャの人々の特徴を一言で表すならば、「横暴」です。彼らは北斗の拳のZ(ジード)よろしく、欲しいものを手に入れるために手段を選びません。とにかく、ごねるんです。ホテルが満室で部屋がなくても、「予約した」の一点張りで聞かず、レストランでも同じで、満席だと伝えても得意のゴリ押しで、予約のために空けていた席を狙ってきます。その様子は「リー、リー、リー」と次のベースを狙う盗塁王。牽制球も効果がありません。

「こっちがどれだけ長い時間を運転して、このホテルに来たと思ってるんだ!」

「子供が腹をすかして泣いているんだぞ!」

「さっきまで居たスタッフが部屋を用意すると約束したぞ!」

……いや、しらねーよ……と言いたくなる気持ちをグッと抑え、カラッカラに乾いたスマイルで荒くれユワシャ無双に対応します(結果は殆ど惨敗ですが)。

ユワシャな人々に共通するのは、彼ら独自のルールを持っていることです。

例えばレストラン、ホテルのルームサービスなどのオーダー時、彼らの大半はメニューを見ません。

 

「ここでは何を置いている?」

まず、メニュー見てよ。書いてあっから。

「この前バハマで食べたあの料理、うーん、何だったかな? あれ、美味しかったんだよ。白身魚とレモンで。それ、ある?」

なに? なぞなぞ? 抽象的過ぎて分かんないよ。てか、バハマ行きなよ。

「僕らを驚かす料理をくれ」

え? なに、マリック的なこと? それとも、とんち? 一休さん的な?

 

もちろん、できる限りの事はします。でも、出来る事にも限界はありますし、何より忙しい時間帯はシェフが首を縦に振りません。

ですので、仕方なく断ると「Why? Why? Why?」のエンドレスワイワイワールドに突入します。彼らを通してそのワイワイワールドを覗くと、荒れ果てた砂漠が見えます。そう、マッドマックス怒りのデスロードです。

このように、ユワシャな人々の例えを挙げるとキリがありません。

「お・も・て・な・し」という言葉を持ち合わせていないカナダは、お客様は神様ではなく、あくまでお客様です(自分はそれがとても好きです)。

なので人によっては、ユワシャに対しユワシャで返すという(抑え気味ですが)裏コマンドを出す人もいます。見ているこっちは気持ちがいいですが、日本で生まれ育った自分には、以前書いた職業ペルソナが邪魔をし、同じようには出来ません。

yoshitakaoka.hatenablog.com

年々数を増す、ユワシャの国からやってくる遣唐使。

年配のスタッフは「昔のゲストは、こんなんじゃなかった」とつぶやきます。

様々な要素が入り混じって、今の状況を作っていると思いますが、その一端を担っているのがテレビ番組なのだと思います。

自分は普段殆どテレビを見ません。情報をチェックするツールはネットです。

唯一、テレビを目にする機会は職場のスタッフルーム、食事休憩の時間です。

自分はそこで流れてくる番組内容に、時々唖然とします。特にリアリティー番組。

何ていうか、笑えないんです。楽しきゃいい、みたいな空気がどうもダメなんです。

金持ちの奥さん達や子供のセレブ生活、ショッピングに恋人探し、パーティーにセックス、シャンパンヒューーー! って感じです。

ごめんなさい。これは自分の勝手な意見なんですが、気持ちが悪いです。

まじか? まじなのか? と。

こんなん見てたら、おたくの坊ちゃんに嬢ちゃん、ユワシャになりますよ。

相手の事を考えない横暴な態度、蹴落とし裏切りの嵐に、選民意識の植え付けとしか思えない階級付け。彼らのホテルやレストランでの振る舞いは、冗談みたいにユワシャと被っています。めちゃくちゃ強い番組の影響力……。

これがこの国の子供たちの成功モデルになるのかもしれないと考えると、秘孔を突かれヒデブと叫び爆死したハートの気分になります。

 

「自由」は生きていく上で大切な権利です。

自由な思想を持って、自由な発想を生み出し、自由に行動する。

素晴らしく素敵です。

でも、やっぱり自由と欲望にまみれて好き勝手するのは、全然違うと思うのです。

相手の事を考えず、相手を見下して攻撃し、相手から無理くり奪い取った自由は、単なるただのユワシャです。モヒカンZ(ジード)の専売特許です。

言い残すことは、それだけか

ケンシロウのように、ユワシャな人々に対してサラッと言葉の秘孔がつけるように鍛錬します。

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 (ユワシャな人々に食べられたエネルギーを補充してくれる、ヒューロン湖の夕焼け)

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