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頭の中の街

頭の中

ずっと、憧れていた街がありました。

中学2年の時に、ブラウン管に映し出された世界。毎回楽しみで仕方がなく、ビデオ録画をしては何度も見直して、その街を目に、というか脳に焼き付けていました。

皆様、「17才 - at seventeen」というドラマを知っていますか? 知ってる、もしくは好きだったというミラクルレアな方、コメント下さい。人見知りな自分でも、一瞬で仲良くなれる気がします。

17才は、1994年にフジテレビで放送されたドラマで、主役は内田有紀。他にも、一色紗英、武田真治、山本太郎、伊崎充則、須藤公一、シューベルト綾(レア中のレア)などが主要キャストで出ていました。

このドラマは、きっとそこまで知名度がないと思います。なぜなら、映像がビデオでもDVDでも発売されていないからです。何でも、未成年という設定の割に喫煙や飲酒のシーンが多かったのが理由みたいです。ですので、オンタイムな放送以外は擦り切れたビデオ録画のみ、というファン泣かせな状態になってました。

(時代の進化は素晴らしく、今はなんと YouTube で見れる模様です。単純にすごいです。この作品を好きだった人にしてみれば、思い出マジックです。鑑賞後、アドレナリン、ドーパミン、及びセロトニンの分泌が止めどないと思われます)

自分はこのドラマが好きで好きで堪らなく、あの頃の金曜ロードショーの四番打者「ニュー・シネマ・パラダイス」に匹敵するほど愛してやみませんでした。

当時14才の自分が受けた衝撃は果てしなく、同程度のショックは 18才の時に見たKEN ISHII のPV「EXTRA 」まで待たなくてはいけませんでした。

何が好きか、と挙げだしたら長くなるので簡潔に言うと、とにかく物語の中に出てくる街、そして世界観にベタ惚れでした。日本であって日本でないような独特の雰囲気、登場人物、そしてBGMにカメラワーク。自分がその時見ていた他のドラマ(90年代もの)には無い世界でした。

登場人物たちの絶妙な関係性が生み出す「仲間」の空気は、ドラマとは正反対の鬱屈しきった生活を送っていた中学2年の自分にとって憧れでした。

 

当時、録画したビデオを何度も見ているうちに、好きな場面がどんどんと頭に染み込んでいきました。

羊が原駅、駅のホーム、駅前の道、セントウェルトン、校舎の前の長い階段、学校の屋上から見える景色、学校のカフェテリア、P's Diner、P's Diner の前の駐車場、翠の家の前の道、長い坂、あの橋、ライトに照らされた大きな看板、稔がシスターに祈られた道、扇型に広がった講堂、稔が大量のポッキーを抱えて歩いた砂利道、巧美と恭一が仮のデートをした遊園地のレストラン、皆で電車を見送った曲がり角、あの図書館、アメリカンな出店が立ち並ぶ通り、飛行機の倉庫、誰もいないプール、ダンス会場、夜の遊園地での花火……

 

すみません、取り乱しました。とにかく、好きだったんです。

製作された方の趣味だと思うのですが、自分が夢見ていた「あの頃」のアメリカ(Stand by me や Back to the future など)の世界をオマージュしているような景色が随所に見られるのも楽しみでした。

 

あのドラマのお陰で、自分は「頭の中に理想の街を創る」という新しい趣味を得る事が出来ました。自分が見て気に入った景色(風景だけではなく、道、線路、建物、橋など全て)を一つ一つのピースにして、好き勝手組み立てていくのです。

ただ当時はまだ中学生。チャリで行ける行動範囲は限られています。そのもどかしい点を補ってくれたのが、街の風景を集めた素材集でした。

今はグーグルマップがあるので、世界中の街からピースを選び放題ですが、あの当時はグーグルマップはおろか、インターネットもありません。ついでに小遣い制もなかった自分は、唯一の収入源であるお年玉を握りしめ、本屋でその奇跡の書を購入しました。

その表紙を見る限り、正式な用途は漫画などを書く上での素材用みたいでしたが、美しい景色ではなく、日常の街角写真を求めていた自分にはもってこいでした。

 

時が経ち、ありがたく「仲間」に出会えた後は、メンバーの1人である、わがままを聞いてくれる友人に頼んで、夜中に自分が目星を付けていた場所へと車を走らせてもらっていました(免許がなかった自分は助手席専用)。写真で見るより、やはり生の方がイメージが付きやすいのです。

カナダへ来てからも良さげな景色があればパシャッとしていたのですが、やはり日本の景色の方がしっくりきます。今は上記のグーグルマップで、オレンジ色のマリオネットを掴んでは、「ここぞ!」という場所へドロップしてお気に入りのピースを増やしています(多摩ニュータウン周辺は個人的に殿堂入りです)。

便利とプライバシーの侵害は表裏一体ですが、今更ながら、すごい時代になったものです。最近はゆっくりとパペットドロップが出来ていない状態ですが、もしずっと先までそのサービスが継続されていれば、老後の時間を持て余さないことは確実です。

ありがたや。

(叱られそうですが、欲を言うならば、マップ写真の時代《80年代、90年代、2000年代など》を選べれば最高だと思います。きっと2050年の街角写真を見ても理想の街を創れないと思うので)

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 (ムスコーカで見たこの橋も、理想の街の一部です)

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