「もしも」の世界は、パラレルワールド

パラレルワールド。

今いる世界と並行して存在する、もうひとつの世界。

 

皆さんは「if もしも」というテレビドラマを覚えていますか? 

1話完結の物語の中で分岐点があり、それぞれ選んだ選択によって結末が変わるお話です。

随分、昔に放送されたものなのですが、中学生になったばかりの当時の自分にはとても刺激的で、強く印象に残るドラマでした。

話の内容もそうなのですが、自分が夢中になったのは「もしも」の先を描くという物語のコンセプトです。

 

もしも、「もしも」の世界が存在したら、もうひとつの「今」ができる。

 

自分が小学生時代に思い描いていた「もしも」はとても限定的で、

(もしも、ウチがお金持だったら、夏休みはディズニーランドに行けたのに)

(もしも、足が速くてバク転が出来たら、凄まじくモテていたのに)

(もしも、2時間前に戻れたら、またハンバーガーを食べれたのに)

といった程度の発想しか浮かばず、イメージもその場面だけで終わっていました。

 

しかし、ドラマを鑑賞し、映像として2つに別れた先の物語を追えたことにより、「もしも」の世界は一時的ではなく、その後もしっかり続いていくのかもしれない、という考えを意識するようになりました。

 

そんな世界があったら面白い。

 

今までイメージになかった「もしも」の未来に注意を向けた時、パラレルワールドの扉は開かれました。

 

そうなると、想像はどこまでも広がります。

それは日常の些細なことから、絶対に実行できなさそうなことまで。

中学生時代は、まだ仲間たちと出会っておらず、独りでいるのが1日の大半を占めていたので、その殆どの時間を使い空想ばかりしていました。

 

その時に描いていたパラレルワールドは、

「好きな子に告白してフられた後の世界」

「ぶん殴られた奴を刺して少年院に送られた後の世界」

などネガティブなものや、歴史が好きだったので、

「元寇の際、神風が吹かず、フビライに制圧されてしまった後の日本」

「一揆勢を完全な軍隊として育て上げた石山本願寺住職、顕如が全国統一をした日本」

「男気を見せた小早川秀秋が家康に呼応ぜず、そのまま西軍に残って戦った関ヶ原」

という無駄に壮大なもの、そして小学校の時に見ていたドラマの違う結末、例えば、

「101回目のプロポーズで、『ぼくは死にませぇん』とトラックの前に飛び出した武田鉄矢が、そのままひかれてしまった後の展開」

「愛という名のもとにで、チョロが首を吊らず、その後、営業成績をグングン伸ばしていき、社会的成功を収める展開」

というものでした。

 

うーん、暗いというか、想像する内容がひどく後ろ向きですね。

正直、華やかでパッとしたものが見当たりませんが、14才の時に出会った「17才 - at seventeen」というドラマが自分が認識していた「もしも」の世界の意味を変えてくれました。

 

このドラマへの愛情は、以前書いたことがあるので省きますが、とにかく好きで好きで仕方がありませんでした。

自分が夢にまで見て憧れたのは、その世界観です。

キャラクターの立ち位置、ひとつひとつの会話や、流れる音楽、そして何と言ってもドラマに登場する街です。

駅、線路、学校、屋上、図書館、プール、ダンス会場、長い坂、遊園地、住宅地、街角、通り、橋、土手、砂利道、公衆電話ボックスにP's Diner。

画面に映し出される、その全てに魅了されました。

 

こんな街に住んでみたい。

もしも、こんな街があったなら……。

17才に出会ってからの自分の「もしも」は、もっぱら理想の街づくりへと向けられていきました。

 

お年玉を握りしめて買った、街の素材集。

自転車で行ける限り回って撮った写真に、雑誌の切り抜き(特にお店)。

原付の免許取得後に、たくさん増えた線路写真。

新聞配達のバイト中に撮り溜めた夜の街角とアパート、マンション群。

仲間に車を出してもらい見つけた理想に近い街。

グーグルマップが見せてくれた世界の道(でも、やっぱり生の写真がいい)。

 

その時々で手段は違えど、自分の心に残った風景をかたっぱしから集めて、理想の街を構成させるピースを揃えていったのです。

そうして形になってきた街に名前や特色を付けて、より色々と想像しやすい環境を整えました。

 

《街の名前は緑奥(りょくおう)市、神奈川県にある人口約12万人のベッドタウン。街のほぼ中央に流れる玉鈴(たますず)川がシンボル。畑が多く広がる街の北側と対照的に、南側には市が80年代後半に誘致した工業団地が区画を埋める。街には多くの住宅団地があり、西側の再開発地区には新興住宅地やマンション群が目立つ》

 

自分の街なので、自分の好きな要素をこれでもかと詰め込みます。

その結果、人口の割には多くの団地やマンションが乱立してまいました。

街や地区の名前も同様で、好きな緑色に執着し過ぎて、何だか偏った名称ばかりになっています(街の中で自分たちが住んでいる地区の名前は、みどり台。一番大きなマンションの名称は、グリーンユニバース)。

 

そんな感じで勝手気ままにやっているのですが、この作業、本当に楽しいのです。

ただ好きな場所に好きな風景をはめ込むのではなく、駅(緑奥駅)を中心とした人の流れを考えてスーパーや商店街を配置したり、工業団地に向かう車の流れを意識して橋を架けたり、開発中の西側の目玉に大きな映画館を建てたりと、やり方は無限大なんです。

一言で言うなら、シムシティ。

自分がやっているのは、あれの脳内アップデート実写版なんだと思います。

 

はじめは街を作るだけでよかったのですが、だんだんとそれだけで満足できなくなり、街の歴史を考えたり、好きなドラマの登場人物をその街に入れて生活させたらどうなるのだろうか、と想像するようになりました。

そこで送られる彼らの日常、起こる出来事、年月の流れを思い描くと、色々なイメージが浮かんでくるのです。

そういったものを書き残している内に、(物語りを書きたい)と強く思うようになりました。

 

自分が一番はじめに書いた「五厘クラブ」もそうです。

日本にいた時に仲間と趣味で撮っていた自主制作映像の続きができなくなり、移住してから何かを表現したいという気持ちが、ずっと放出されずに溜まっていました。

こちらでの生活が何とか落ち着いた頃、生き残る方だけに向けていた意識が、思いやアイデアを外に出したいという欲求にシフトして、抑えきれなくなったのです。

 

そんな毎日の中で心に現れたのが、鮮明な自主制作映像とあの街でした。

実在する仲間を、緑奥市に入れたら「続き」が始まるのではないか?

とにかく、何かが見たかったのです。

 

イメージはとてもスムーズにいきました。

街に入った彼らは、自分の記憶にある性格通りに動き、生活をしてくれました。

なんだかとても楽しくなり、今度は自分たちの過去と設定を少し変えて、物心がついた時代まで時を遡りました。

 

結果は、予想以上でした。

自分が入れたオリジナルキャラクターと、生まれた場所が変わった彼らが「その街」で物語を繰り広げます。

ストーリーは続いていくのだと、実感しました。

 

自分の中で「五厘クラブ」は完全なるパラレルワールドです。

今ある世界と並行する、もうひとつの世界の話。

なので、まるで自分がその世界を実際経験してきたかのように、情景がとてもリアルに浮かびます。

距離が離れてしまっても「終わり」ではないのだと、その世界を通して確信しました。

 

街は、どこまでも広がります。

今書いている小説の舞台はカナダですが、あの頃ストックしたピースがちゃんと舞台の一部になっています。

 

空想だけど、身近に感じるパラレルワールド。

決して行き来できないところに、並行世界の楽しみがあるのだと思います。

 

 

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(空が高いエリー湖の湖畔。この景色も、自分の街の一部になってくれています)

ハッシュタグ「人間を出せ」

前回の記事の続きです。

yoshitakaoka.hatenablog.com

ハッシュタグ「人間を出せ」の世界。

これ、個人的に十分あり得る未来だと思います。

自分が例えに出した2037年、今から20年後の世界なんですけど、現在の進化のスピードを考えたら、きっと想像以上のデジタルワールドが自分たちを待っているのだと考えられます

20年。

その年月は多くの常識を変えるのに、十分すぎる力を持っています。

 

例えば今から20年前の1997年。

ビジュアル系と初代プレーステーションが世の中を席巻し、庶民レベルの最先端はポケットベルからPHSへ! という時代でした。

個人的には「モード系とは違う個性」と息巻いて、アイビーやモッズスタイルに憧れ、少し背伸びして下北沢へ古着を漁りに行っていました。

それでも流行りに逆らう勇気はなく、品切れ状態だった紺のラルフローレンのベストを探し回っては街を徘徊し、どうにかしてそれを手に入れて安心感を得ていました。

(そんなラルフのベストも、すぐさま先輩に呼び出され献上する羽目になる暗黒時代真っ盛り。体の痛みと新聞配達時の寒さが身にしみます)

 

とにもかくにも、20年経った今、「あの頃」はもう存在していません。

さようなら、たまごっち。

ありがとう、docomoのiモード。

アステルに、DDIポケット、お世話になりました。

 

そう、泣こうが喚こうが、たまごっちをしようが時代は変わっていくのです。

2037年、今ある大部分の職種が人間以外の手で行われているであろう時代、その担い手になるのが作業用ロボット、AI搭載型ロボット、そして人間と見た目が変わらないアンドロイドだと思います(アンドロイドは費用の面で、そこまで普及していると思えませんが)。

それらの機体は、特に製造業とサービス業の分野によく見られるようになり、自分が働いていたホテル業界にもテクノロジーレイバーの嵐は吹き荒れるでしょう。

 

ホテルの現場に置かれたAI搭載機はとても優秀で、客の無理難題も問題なく対処できると思うのですが、文句が人生のお友達である YouはShockな人々は、それで満足できるとは考えられません。

「おぅ、責任者を出せぇい!」と同じ勢いで、「おぅ、人間を出せぇい!」とAI搭載機が並ぶフロントデスクで叫んでいる様子が容易に想像できます。

何を言っても一方的な謝罪しかしないAI搭載機、眼球に埋め込まれたレコーダーによって客の言動を逐一記録するアンドロイド、そんなものよりも彼らが必要としているのは、嫌な顔をされても話を聞いてもらえる不完全な人間なのです。

 

そこで呼び出される度に顔を出さなくてはいけない人間スタッフ、たまったものではありません。

きっと1人、多くても2人しか配属されない人間のフロントデスク業務の内容は、2割が報告書のチェックで、後の8割はゲストの苦情処理なのだと思います。

それはフロントデスクだけに限らず、各部署も同じような状況でしょう。

 

例えば、ホテルのメンテナンス。

実働するのは全て機械、人間はその機体を現場に運ぶのと管理が仕事です(もちろん、クレーム処理も)。

レシービングも一緒。

荷物受け取りから適所への陳列、配達は全て機械。人間は受け取りサインと機体の管理だけ(あと、クレーム処理も)。

ジムにはパーソナルAIインストラクター機能が付いたマシーンがあるので、人間はいりません。

アカウンタントも予約係も、セールスも、みーんな機械。

 

ハウスキーピングだって、問題ありません。

メイドロボットはどんな人間よりも迅速にベットメイクができ、アメニティーも文句も言わず運びます。部屋の外と内側を繋ぐセンサー感知ボックスに物を運び入れれば、ワザワザ部屋をノックする必要もありません。

部屋のドアの横に位置しているそのボックスは、ある程度の大きさがあるのでルームサービスオーダーだって収納できます。しかも、自動温度調整付きなので、食事が冷めたり、ドリンクが温かくなる心配もありません。

先程も触れましたが、運んでくる機械の認証センサーを感知した時のみボックスが開くので、安全面に関してもノープロブレムです。

このように各部署の状況を考えても、クレーム対処以外に全くもって、人間はいらないのです。

 

ただ、レストランやバーはどうでしょうか。

うーん、ここは難しい。きっとその頃には2つの食事スタイルが確立されていると思います。

1つはフードコート形式の完全自動スタイル。調理も提供も全て機械だけで行われます。値段は低めで、支払いはマイクロチップかスマートデバイスを所定のスクリーンにかざすだけです。

もう1つは自分たちが知っているスタイルのレストラン。受付から提供、調理も勿論、人間が全て行っています。バーもきっとこの形。

謳い文句は「100%ヒューマンメイド」

ヒューマンメイド……皮肉にも今使われている意味と真反対の趣旨でその言葉が使用されます。

「いやぁ〜、やっぱし人の作ったもんは違うね〜!」

2037年のレストランで必ず耳に入るフレーズです。

ちなみに、レストランの値段設定は高めで、サーバーにはチップを払わなくてはいけません。支払い方法も少し変わっていて、レストランでは何とまだ紙幣を受け付けてくれます(コインも)。デジタル通貨でほぼ統一されている世界。孫へのお年玉もスマートデバイス経由という味気ない実情を考えれば、奇跡です。客の年齢層が異様に高いのも頷けます。

 

近い将来、世界を大きく変えることになるロボット技術。

機械はとても勤勉で正確です。

アンドロイドは人間と変わらない姿をしていますが:

「タバコ休憩に行くわ」「この週、有給3日ちょうだい」

なんてことは言いませんし、凡ミスもしません。それに職場の人間関係トラブルとも無縁です。

 

特定の職場では必要とされなくなってしまった人間。

機械に職を追われた人は、一体どうなってしまうのか?

 

デモを起こして、機械やアンドロイドを破壊するのでしょうか?

それともベーシックインカムを政府からいただき、何とか生活ができる毎日を送るのでしょうか?

もしくは、その全てを捨ててテクノロジーを拒否し、政府未公認地で田畑を耕すのでしょうか?

 

自分にはどうなるか分かりません。

想像はいくらだってできますが、実際のところは読めません。

でも、読めないからこそ、いくらでも自由に考えられるのです。

 

勝手に考えた20年後の近未来、それまではまだ時間があります。

知識を蓄え、それを有効的に活用する脳の回路を作る時間も、ありがたいことにまだ残されています。

時代の変化に逆らうつもりはありませんが、マイクロチップだけは埋め込みたくないです。

 

「言葉はいらない、チップで語ろう」

有名なアイドルを使ったCMが毎日流れるかもしれません。

 

「かざさないと、見えない世界がある」

渋い俳優の顔が夜空のアドスペースに浮かぶ日がくるでしょう。

 

「チップでチケットを購入すると、私達のスペシャルグラビアが見れちゃいます!」

国民的アンドロイドグループが魅惑のデジタルボイスで語りかけてくる可能性は高いです。

 

それでも、嫌だ。

そのことで、どんなに生活が不便になろうとも、周りから白い目で見られようとも、自分はマイクロチップを埋め込まない。

 

心の自由を取り戻すために、どれだけの年月を要したことか。

夜中に何度、目を覚ましただろうか。

折れた心を立て直すのに、何回バーベルを上げたことか。

 

埋め込むことによって、1ミリでも誰かのコントロール下に置かれる可能性があるのならば、自分は偏屈ジジイとしてこの世にのさばります。

笑われて後ろ指を指されても、心の自由と共に生きていきます。

 

まだ見ぬ、近未来。

色々と想像しながら、楽しみにその訪れを待ちます。

 

なんの根拠もない空想話を読んでくださり、ありがとうございました。

 

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(どんな時代になっても、こんな空を見続けていたい)

ようこそ、ホテル「近未来」へ

「未来」と言っても、何百年も先の話ではなく、何十年先の「近未来」。

例えば、今から20年先の2037年。

地球がどうなっているとかいう話はひとまず置いておいて、一部分にクローズアップ。

映し出すのはホテル。

自分が以前、働いていた場所の20年後の姿。

恐ろしくも興味が惹かれる、そのホテルでのチェックイン模様。

 

《 以下の文は、書き手の勝手な妄想によって書かれており、登場する法律、出来事、機能などは全てフィクションです》

 

ようこそ、ホテル「近未来」へ!

 

今から20年後の2037年。車はまだ世界中の空を飛んでいません。

技術上では実現可能なのですが、法律の整備、政府と民間との間での空中空間権利などが整っておらず、実験的に上空飛行を実施しているバルト三国でしかその姿を見ることは出来ません。

ですので車で来られるお客様は、今でも普通に道を走ってこられます。

ただ、燃料はガソリンではなく水、運転も完全自動となっております。

 

パーキング

お客様がホテルの正面玄関に着きますと、車に標準装備されているタブレットに番号が表示されます。

それが、お客様のパーキングナンバーです。

番号は今記憶されなくても結構です。お客様のパーキングナンバーは、車のタブレットとコネクトされている全ての末端デバイスに自動で送信されます。

クラシック車種(ガソリン車)でお越しになるお客様につきましては、予約の際にご登録いただいた電話番号のスマートデバイスにパーキングナンバーが表示されますので、そちらでご確認ください。

(尚、バレーパーキングサービスは、クラシック車種のお客様限定とさせて頂きます)

 

国からお客様へのお願い

ガソリン車から水電動車への切り替えリミットは、2045年です。

それ以降のガソリン車での公道走行は罰則対象になりますので、切り替えはお早めに。

お車をお止めになった際、指紋認証、及びマイクロチップセキュリティーシステムは必ずオフにして下さい。

利用規約の欄に明記されている通り、お客様がホテルにチェックインされた後、お客様の車は当ホテルのメインホストコンピューター預かりになります。セキュリティーシステムをオンにされたままですと、コントロールエラーが生じ、お客様の車を安全に駐車場へ運ぶことが出来ません。

 

お車をご利用の際は、客室のスマートデバイス、もしくはお客様のスマートデバイスからホテルのリクエストボックスへアスセスし、番号を入力してください。

入力から15分以内に、ホテルのフロントへお車をお運びいたします。尚その際、お車の指紋認証、及びマイクロチップセキュリティーシステムはオンになっておりますので、お手数ですがお車を再度お預けになる際は、必ずシステムをオフにしてからお戻りください。

(お客様が15分以内に乗車されない場合、お車をテンポラリーパーキングスペースへと移動させて頂きます。そちらから再度フロントへ車を回す際、5分ほどの待ち時間を頂きます。尚、リクエストから30分が過ぎますと、お客様の車は自動的にテンポラリーパーキングスペースからメイン駐車場へと移動しますので、お客様のリクエストは無効となります。お手数ですが、スマートデバイスに無効アラートが表示された際は、リクエストの再入力をお願いいたします)

 

ベルサービス(お荷物サービス)

お客様のお荷物は、ベルサービスカートが迅速に、そして安全にお部屋へとお運びします。

お荷物のお手伝いが必要な際は、お近くのベルパーソンへ声をお掛けください。

係りの者がお客様のお荷物を車からベルサービスカートへと移します。

全ての荷物を移し終わりましたら、ベルサービスカートのタッチスクリーンにお荷物を受け取る方のマイクロチップをかざしてください(複数可)。尚、マイクロチップの埋め込みがなされていないお客様につきましては、指紋のスキャンをお願いしております。

お客様の個人認証が済んだ時点で、サービスカートは強化プラスチックで覆われ、お客様の到着より早く、お部屋へとお運びします。

お荷物を受け取る際は、マイクロチップ、もしくは指紋をカートのスクリーンにかざし、強化プラスチックカバーを解除してください。

(自動チェックインが事前にお済みでない場合、到着が遅れる場合がございます)

 

チェックイン

当ホテルは、チェックインフリープログラムに参加しております。

ご予約時にタップして頂いたお客様のマイクロチップ、もしくはスマートデバイスがホテルの敷地内に入られたと同時に、お客様の希望にそったお部屋をご用意いたします。

(混雑時は、ご要望にそえない場合がございます)

お客様がマイクロチップ、もしくはスマートデバイスをお持ちでない場合は、マニュアル型のAIチェックインをご利用いただけます(個人認証に15分ほどお時間が掛かります)。

国からお客様へのお願い

マイクロチップの埋め込みは安全で、あなたの生活を便利にします。

埋め込み後は、マニュアル型の個人認証で時間を取られることも、スマートデバイスの盗難、紛失を心配する必要もありません。

埋め込みに要する時間は1分ほど。費用もかからず、痛みも全くありません。

マイクロチップの埋め込みは、地方自治体のコミュニティーセンターで24時間、365日承っております。

(高齢者のための、訪問埋め込みサービスも開始いたしました)

 

アンドロイドスタッフへの注意点

当ホテルでは、ロビーにあるインフォメーションセンターに2名、29階にあるコンシェルジュラウンジに3名のアンドロイドスタッフを配置しております(2037年1月現在)。

2036年8月に施行された「アンドロイド保護法」により、アンドロイドに対して以下の行為が罰則の対象になりました:

  • アンドロイドへの身体的、精神的な暴力行為(誹謗中傷も含む)
  • アンドロイドへの身体的、精神的なセクシャルハラスメント行為

以上の行為が確認された場合のみ、アンドロイドスタッフに内蔵されているデーターから違法行為を犯した個人を特定し、その内容をサイバー警察署へと送信させて頂きます。

(それ以外のデーターはプライバシー保護法に基づき、公表されることはありません)

 

 

……すみません。思ったよりもダラダラと長くなってしまいました。

小説に書く題材は今の所、現代のものばかりなのですが、こういった未来の日常を想像するのは、とても楽しいです。

そこの世界にいる方たちの(客やスタッフなど)会話がたくさん浮かんできます。

「人間を出せ」

このフレーズは、自分の中で2037年のナンバーワンハッシュタグです。いつの時代も、人は人に文句を言いたいものだと予想します。

 

頭の中で想像する未来は、いつも面白く、そして恐ろしいです。

 

よろしければ、こちら続きとなっております。

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(例え2037年になろうとも、この街の目玉はきっと滝のまま。デジタルでは表現できない強さと安心感があります)

どうか、仮面は付けたままで

プライベートとパブリックの境界線

決して、うやむやにしてはいけない大事なライン

 

仮面を付けて社会を生きる

作り込んだソトヅラは、出会う人への思いやりだ

お外は、あなたの家ではない

だから、どうか仮面を外さないで

 

毎日みんなが、それぞれの場所で、それぞれの役割を演じている

それは何も働いている側だけの話ではない。受け取る側だって同じこと

客が客というを役割を放棄した瞬間に、ホスピタリティー産業は崩壊する

お互いの間にあった不文律が崩れ去った後には、「客 ー 従業員」という社会的関係はすたれ、「客 ー 従者」という主従関係が残る

店員に土下座を迫る客がいい例だ

 

「お客様は神様です」

真意はともかく、自分が子供の頃はまだ日常に浸透し、生きていた言葉

今でも、そのフレーズは存在しているのだろうか

もしそうならば、泣きそうな気持になる

人に土下座を強要する神様なんかいるわけがない

どんな職業に就いていようと、労働者である前に一人の人間。そこにいかなる理由があろうとも、客が従業員に土下座を強いてはならない

自分たちが土下座をする相手は、客ではなく嫁だと相場が決まっているはずだ

人が人の心を折ってはダメだ

そんな悲しい行為は、この世から一生消えてなくなればいい

 

個性が溢れる時代

テクノロジーの恩恵に預かり、思ったことを何でも発信できる世代

ウチヅラとソトヅラの区別がつきにくい今だからこそ、どうか、仮面は付けたままでいて

オリジナリティーを追求するのと傍若無人に振る舞うのは、イコールではない

生きることは、確かにアートだ

でも、芸術はあなたに涙を流させるけど、あなたを傷つけて泣かせたりはしない

少なくとも、自分はそう思っている

 

人は時に凶暴だから、仮面は付けたままで

性善説と性悪説、自分が見てきた世界では両方が同じくらいに溢れていた

人は人を無条件で助けたいと思っている反面、理由もなく苦しめたいと考えている

弱肉強食、集団心理。これらはやはり、ずっと昔から遺伝として細胞に組み込まれているのかもしれない

 

皆で罪人に石をぶつけて殺す

集団でギロチン処刑を見学する

魔女という名の人を吊るし、囲んで燃やす

色が違うという名目で黒人を迫害し、殺害する

私利私欲の為に先住民をバイソンのように撃ち殺す

 

興奮して目を見開き、口は半開き

瞳孔が変だ

自分が対峙してきたその表情は、何世紀も前から変わっていないのかもしれない。

その場の熱に飲み込まれる

目に見えないが「そこ」にある狂気によって、自分たちの性悪な部分を刺激され、我を失くしてしまうのか

 

仮面は理性で出来ている

そして、その理性には知識と思いやりも含まれている

人を食ってしまう狂気に対抗できるのは、その理性の仮面であると自分は強く信じている

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(デフェリンアイランドにある小川。ここで仮面をジャブジャブ洗って清めます)

高橋名人チルドレンよ、立ち上がる時がきた

高橋名人チルドレンに告ぐ

 

時は来た

"The time has come" だ

同じことを2回続けて伝えなくてはならない程、とっくに機は熟している

2016年も、もうあと僅か 

これ以上、待っていてはダメだ

 

君達はロストジェネレーションを生きてきたのではない

アナログとデジタルの狭間を彷徨っていただけだ

中途半端で、どっち付かずだって? 

いやいや、どちらの世界でも対応可能だと言って頂きたい

私達の存在は、言うなれば「ドッチーモ」

ん? PHSにも携帯にもなれる優れもの、ドッチーモを覚えていない?

君は一体、何を言っているんだ?

テクノロジーガジェット大好き世代の君達なら、しっかりと記憶の中にあるだろう

鈴木京香とタッキーがすれ違う、あのCMだ

ドラゴンクエスト2のとんでもなく長い復活の呪文を空で言えた君達だ、忘れたとは言わせない

 

高橋名人チルドレンよ、最初に伝えておくことがある

辛い時は、逃げるんだ

あの時、繰り返したピンポンダッシュ(今も昔も絶対やってはダメだ)によって培われた瞬発力は、今も生きているだろう

最近、全力で走ってないって?

心配ない、君はただ走り方を忘れているだけだ

いざとなったら、あの頃のように風を切ったブレードランナーと同じ速さで走れるはずだ

 

ここまで生きてきた君達なら分かると思うが、世の中は案外たくさんの「ずっちぃーな」で溢れかえっている

今、君の眼の前には、あの当時憧れた月9、及び、ボクたちのドラマシリーズとは掛け離れた世界が広がっているのかもしれない

でも、大丈夫

キツくなたら立ち止まり、後ろを見ればいい

振り返れば、ヤツがいる

そう、カンチがいる

なんなら、リカもいる 

君は一人じゃない

 

高橋名人チルドレンよ、もう縮こまるのはやめよう

社会の不条理が何だ

そんなものは、理不尽極まりないファミコンカセットに比べたら大したことではないではないか

説明もなく無慈悲なカオスが始まる「たけしの挑戦状」を思い出せ

それでも足りないなら、エメラルドグリーンのモンスター「元祖西遊記」はどうだ

ヒントも道標も何もない中、何度も同じ失敗をしてはリセットを押し、どうにか答えを見つけ出したあの忍耐力があれば、今携わっている仕事の問題など痛くも痒くもないはずだ

 

高橋名人チルドレンよ、下からの突き上げが苦しいと感じるのは、幻覚だ

思い出してみよう

君達の学年に何クラスあった? 

クラスに生徒が何人いた?

無駄に競争率の高い時代に生まれ、「個性」という言葉を知らない指導者から数字だけでしか評価されない青春を過ごしたではないか

下からの突き上げが何だ

一列に並んだ横からの引っ張り合い、リーゼント with 短ラン・ボンタン スタイル、はたまた、ロングスカート with ロン毛パーマ・真紅の口紅に身を包んだ上からの押さえつけと比較したら、可愛いものだろう

リアル熱血くにおくんワールドから生還した君達に、怖いものなどもう何もない

 

高橋名人チルドレンよ、終わりの見えない自分殺しとはサヨナラしよう

「若いヤツの発想には、追いつけない」と自分を卑下するのは、単なる決めつけだ

君達の想像力や発想力は素晴らしい

マリックもビックリなんだ

君達は、スライドしてタップすれば世界と繋がる魔法のタブレットとは無縁の幼少期を過ごしたが、もう一度、自分の過去をちゃんと振り返って欲しい

いつも同じ表情で笑うリカちゃん人形や、黒船バービー人形&無表情のケン君、色の付いていないキン肉マン消しゴムや、腕を直角にしか動かせなかったウルトラマンフィギュア達に命を吹き込んだのは、どこの誰だ?

彼らに魂を入れ、その表情を豊かにしたのは紛れもない君達なんだ

シルバニアファミリーとレゴの街を作り上げた自分のクリエイティビティを侮ってはいけない

ワックスを使わずにケープのスプレーだけで髪型をバッチリ決められるあなたは、間違いなくアーティストなんだ

 

高橋名人チルドレンよ、個性が強いニューカマー達を恐れてはいけない

生まれた時代や育った環境の違いによって、彼らの言葉遣いや態度は君達を驚かすかもしれない

でも、気にすることではない

彼らは彼らの時代を生きてきただけだ

高橋名人チルドレンである君達は、大きな度量を持っている

君達が小さかった頃に娯楽の全てだったテレビは、今より規制が厳しくなく正直、何でもアリのおもちゃ箱だった

ドリフ、ひょうきん族、加トケン、とんねるず、ウッチャンナンチャン

番組で言えば夢で逢えたら、とぶくすり、そして、素っ裸牧場など

結構過激な内容を、家族と一緒にお茶の間で楽しめることが出来た君達だったら、何だって受け入れられるはずだ

あの新加勢大周の存在だって飲み込んだのだから、少し明後日の方向を見ている後輩たちにも、問題なく笑顔を見せられるだろう

 

高橋名人チルドレンよ、もう少しだけ話を聞いてくれ

もし君達が笑うことも、泣くことも、逃げることも出来なくなった時は、どうかゆっくりと休んで欲しい

「鬱」という言葉の地位が皆無だった現実を生きてきた君たち

走り抜くことで今の立場を築いてきた頑張り屋さん

そんな君達だからこそ、危ないと思ったら必ず心と体に休息を与えてやって欲しい

周りの目なんて気にするな

そんなものには中指を立ててくれ

大事なのは命だ

君は沈没するんじゃない、休養するだけだ

「俺らの時代はもっと厳しかった」なんて言葉は耳に入れなくていい

皆、意味があってそれぞれの時代に生まれているんだ

「いい年して、何やってるの」という忠告には白目を剥け

全くもって逆だ

いい年になった今だからこそ、精神のメンテナンスが必要なのだ

心の片付けをする際に、一番最初に捨てるべきものは「世間体」だ

明星のバックナンバーをゴミ箱に入れるくらいなら、そいつを先にポイっとしてくれ

片上げをしたフッくんのピンナップの方が、世間体より数倍の価値がある

 

高橋名人チルドレンよ、君達はいつだって走り出せる

蜂のマークでお馴染みのハドソン「シュウォッチ」で鍛え上げた連打力は、どんな障害も打ち崩せるだろう

我らが師匠、高橋名人が連打でスイカを割ったように

大丈夫、君の連打力は衰えてはいない

学生時代、公衆電話のボタンを連打して送った数え切れないポケベルへのメッセージが何よりの証拠だ

一人で壊せない壁があるのなら、いつでもファミコンのツーコンマイクを通して私を呼んでくれ

キャプテンサンタの白いセータを肩にかけて、君の前に現れるだろう

 

高橋名人チルドレンよ、The World is yours だ

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(空に月。長方形の枠から、クリスマスツリーと滝が登場です)

愛しのタテ耳と、白い靴下

突然ですが、自分はネコが好きです。

正確に言うと、「好き」という気持ちで収まりきれないほど、愛しています。

あの、顔。あの、仕草。お腹なんか見せちゃうものなら、もう至福の極みです。

何なんですかね、ネコって。何で、あんなに可愛いんですかね。

以前の記事で紹介したことがあるのですが、ウチはネコが2匹います。名前はミータとナナです。

仕事から帰り車を停めると、音に反応したナナは居間の窓から顔を出し出迎えてくれます。まさにデレデレのなせる技。

玄関を開けて中に入り、着ていたダウンを脱ぐとこんな感じです。

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(内側の温もりが大好きな、ナナ)

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(グルグルグルグル、ロールして)

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(さんざん手に絡みついた後に)

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(放心して、What's マイケルポーズのまま、固まります)

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お前のザイオンは、どこだ?

昨日の記事の続きです。

yoshitakaoka.hatenablog.com

小太りバドワイザーに無理を聞いてもらい、地下の騒音地獄から抜け出した自分は、1階の角部屋で人間的な生活を手に入れました。

「下はうるさかっただろ。悪い奴らじゃないんだ。ただ、若いだけだ」

1階に移った日の夜に、キッチンで顔を合わせたBさんは、そう言って顔をほころばせました。

Bさんは、この寮で初めてヤマン挨拶をしたガッチリ体型のジャマイカンです。

しばらく1階で生活して分かったのですが、常にタンクトップを着て筋肉を前面に押し出しているBさんは、この階のまとめ役のような人で、彼の周りには常に年齢層が高めのジャマイカンもしくはバルベディアンがいて、夕食時には大所帯でテーブルを囲んでいました。

 

自分は地下にいる時から、キッチンで料理を作っては速攻で自分の部屋に運び入れ、いつも1人で食べていました。その方が気分的に楽だったのです。

ですので、寮の住人とは1階に移ってくるまで挨拶以外は殆ど会話を交わしませんでした。得体の知れないものをキッチンで作っている以外は、バスでしか見かけないアジア人。彼らにしてみたら自分は、何の掴み所も無かった住人だったと思います。

そのことが、自分が呼ばれていた呼び名である、「チャイナ」に現れています。

 

前回の最後の部分でも触れましたが、以下が社員寮での自分の名称変化図です:

チャイナ → ジャパン → サムライ → サムライヨシ → ヨシ → ミスターヨシ

 書いてみただけでは意味が全く伝わってこないので、一つ一つの名称解説と共に、寮で起きた変化を書いていきたいと思います。

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