めぞん《ヤーマン》一刻

「寮生活」というものを、自分は今までで一度だけ経験したことがあります。

期間は5ヶ月。場所はオンタリオ州のコテージカントリーとして知られる、ムスコカという場所でした。

自分が昔から抱いていた寮生活のイメージは、「めぞん一刻」もしくは「ツルモク独身寮」です。

正確に言うと、めぞん一刻の舞台はアパート(一刻館)なので寮生活の部類には入らないのですが、自分は「寮での生活 = めぞん一刻のような和気あいあいとした雰囲気」という図式を、頭の中で勝手に作り出していました。

 

五代くんに、音無さん、なんなら白鳥沢レイ子さんまでいる生活。

淡く、そして生温い考えでした。

 

自分が通っていたカレッジのコースには、2年目に一般企業へのインターン学習があり、「コネクションを得るチャンスは、ここぞ!」と息巻いた自分は、だいぶ背伸びをして、家から遠く離れたリゾートホテルのインターンに応募しました。何回かの面接の末、先ばしり前のめりな姿勢が奇跡的に通じ、職を得ることが出来ました。インターンの期間は5ヶ月。半端な入寮期間の理由は、そのためです。

 

大自然に囲まれた小さな町にある、会社の寮、というか巨大シェアハウス。

不安な気持ちで辿り着いた自分を最初に迎えたのは、ガッチリとした体型の黒人さんでした。

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