「七日後」の秘密 (高岡ヨシ + 大関いずみ)

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「急に呼び出してごめん」

 

「うん。いいけど、誰もいないよね」

 

「誰もって?」

 

「ヤマカワさんとか」

 

「大丈夫。いない、いない」

 

「本当に? 倉庫なんかに呼び出すから、構えちゃったよ」

 

「ごめんね」

 

「いいよ、いいよ。それよりさ、月曜どうだった? やっぱり新しいことされた?」

 

「月曜? あぁ、水のやつ?」

 

「うん。あれ、ひどくない? 着替えなんて持ってないから、ビショビショのまま帰ったよ」

 

「僕も。すれ違う人にジロジロ見られた」

 

「あんなの、何が楽しいんだろうね?」

 

「あいつらが笑ってしてくるやつ、1ミリも理解できない」

 

「最低だね」

 

「間違いない」

 

「あのさ、聞くのが怖いんだけど、何か緊急事態あった?」

 

「いや、そっちは大丈夫。今のところは何の連絡もない。今日呼んだのは、ヤマカワ関連のことじゃないんだ」

 

「え、そうなの?」

 

「うん。ちょっと聞いて欲しいことがあって」

 

「どうしたの?」

 

「あのさ、タカギ先生って、妊娠してたっけ?」

 

「タカギ先生? 保健室の?」

 

「うん」

 

「いや、知らない。保健室のタカギ先生でしょ? 妊娠なんて話、聞いたことないよ。何でそんなこと聞くの?」

 

「あのさ、こんなこと相談して本当に申し訳ないんだけど、どうしていいか分かんなくて」

 

「何かあったの?」

 

「あのさ、先週の水曜のことなんだけど、なんとなくヤマカワとかに呼び出される気がしたから、保健室に逃げたのね。水曜って、よく呼び出しがかかるから」

 

「分かるよ。水曜の昼休み明けって、危ないもんね」

 

「危ない。事情は話してないけど、タカギ先生って、基本なんにも言ってこないから、その日も『頭が痛い』って言って、寝かしてもらってたんだ」

 

「俺も時々そうしてる」

 

「あそこさ、寝る時、あのカーテンみたいのでベッドをグルッと隠すでしょ? その日もタカギ先生がそうしてくれたんだけど、滑りが悪かったのか、ちょうど枕の部分にちょっとした隙間が出来たんだ。本当にちょっとなんだけど、自分で閉めるのもなんだから、そのままにしてたの。僕が寝ていたベットは入り口側だったから、そこからは先生の後ろ姿が見える感じ」

 

「うん」

 

「いつもそうなんだけど、寝っ転がっても寝れないから、天井をずっと見てたんだ。そしたら、『ジャキッ ジャキッ』って音が聞こえたんだ。ゆっくりと、何かを切るような音」

 

「音?」

 

「うん。その時、部屋には僕と先生しかいなかったから、気になって隙間から覗いたんだ。ハサミは見えたから、何か切ってるのは分かったんだけど、何を切ってるのかまでは見えなかった。けっこう長いこと音が聞こえたんだけど、何か作業をしてるんだと思って気にしないようにしたんだ。でも、途中から、声も聞こえ出して」

 

「声って、先生の?」

 

「うん。『出てくるな』って。最初は小さくて何を言ってるのか聞き取れなかったけど、意識したら、だんだんクリアに聞こえてきて。『出てくるな』『出てくるな』って、繰り返してた」

 

「え、それは、サエキに対して言ってるの?」

 

「いや、独り言なんだと思う」

 

「『出てくるな』って、タカギ先生が?」

 

「うん。何かを切りながら、小さい声でずっと。何だか変な感じがして、先生の後ろ姿から目が離せなくなった」

 

「何か声をかけたの?」

 

「かけないよ。かけれないよ、怖くて。それから少しして、先生が誰かに呼ばれて部屋を出て行ったんだけど、いったい何をしてたのかどうしようもなく気になって」

 

「切ってたやつ?」

 

「それを含めて、色々」

 

「机の上に何かあったの?」

 

「いや、出て行く時に机の引き出しに入れてた」

 

「もしかして、開けたの?」

 

「ベットから起きるのが怖かったけど、とにかく気になって。どうしたらいいか分からなくて五分くらい待ったんだけど、先生は帰ってこなかった」

 

「引き出しに、何があったの?」

 

「赤い布っていうか、お守りみたいなやつ。それがバラバラに切られてた」

 

「お守り?」

 

「うん。交通安全みたいなやつ。なんのお守りかは分からなかったけど、バラバラだった」

 

「あのさ、それやってたの、本当にタカギ先生だよね? 保健室の」

 

「そうだよ。それ以外にありえない」

 

「何で、そんなこと」

 

「分からない。それに、そこにあったの、お守りだけじゃないんだ。バラバラになったお守りの下に、絵があった」

 

「絵?」

 

「うん、これ。この絵」

 

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「なに、これ?」

 

「分からない」

 

「ねぇ、なんでこの絵をサエキが持ってるの?」

 

「引き出し開けて、訳が分かんなくなっちゃって。絵を見ている時、ちょうど保健室に生徒が入ってきたんだ。それで咄嗟にポケットに入れた」

 

「その時、先生も帰ってきたの?」

 

「いや、生徒だけ。確か、ケンジと同じクラスのシミズ君だと思う。なんか、タカギ先生を探してるみたいだったけど、『いませんよ』ってだけ伝えて、気不味くなったからそのまま部屋を出た」

 

「ねぇ、絵の裏に、なんか書いてあるよ」

 

七日後

 

「うん。家に帰って、ちゃんと見た時に気付いた」

 

「七日後って、なに?」

 

「分からない。全然、意味が分からない」

 

「下に、ほら、そこに書いてある日付って、それ先週の?」

 

「うん。先週の水曜日」

 

「じゃあ、七日後って」

 

「今日、だね」

 

「何か、あった?」

 

「今のところは、何もない」

 

「でもさ、タカギ先生はサエキが絵を取ったって知らないかもしれないでしょ? だってあの時、戻ってこなかったんだから」

 

「戻ってはこなかったけど、絵と一緒に僕もいなくなってるからね」

 

「サエキの他にも、生徒が入ってきたって言ってたよね、じゃあその子が取ったってことも考えられるでしょ? だったら……あ」

 

「何? どうしたの?」

 

「その生徒……さっき、シミズ君だって言ったよね?」

 

「うん。ケンジのクラスの子だよね」

 

「そのシミズ君、二時間目の後に保健室へ行って、そのまま早退したって聞いたよ」

 

「……え?」

 

 

 

タン

タン

タン

 

タン

タン

タン

 

ガラッ

 

 

「あっ、本当にいた。何やってんだお前らこんなことで。まぁ、いいや。おぃ、サエキ、タカギ先生に、お前がここにいるからって言われて来たんだけど、なんか急ぎらしいんだ。渡した資料のことで話があるみたいだから、至急、保健室へ行ってくれ」

 

 

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〈文〉高岡ヨシ

〈絵〉大関いずみ

 

***

 

大関いずみ aka ミチコオノさんに、感謝。

 

必見です。

fukaumimixschool.hatenablog.com

fukaumimixschool.hatenadiary.com

 

 

ラジオネーム・放課後のジェットリー 

「さっきの電話、意味わかんねぇよ。一応買ってきたけど、何でケーキが必要なの?」

 

「話した通りだよ。大切なイベントだから、非日常アイテムが必要なんだよ」

 

「それで、何でケーキなの? お前、甘いもの食えないじゃん」

 

「いいんだよ、なんだって。雰囲気なんだから」

 

「だったら、プリングルスとペプシでいいじゃん」

 

「それじゃあ、いつもと一緒だろ。今日は特別なんだよ」

 

「何それ。まぁ、はい。ケーキと、一応いつものも買ってきたよ」

 

「ありがとう。気が利くねぇ。気が利き過ぎて、怖いよ」

 

「どーせ後で腹減ったとか言うじゃん。あれ、聞いててうるさいんだよ。あと、ケーキ選ぶの面倒くさかったから、今日は割り増しで千円な」

 

「でた、四捨五入」

 

「うるせぇよ。じゃあ、今度から自分で買ってこいよな」

 

「はい、千円です」

 

「お前、どんだけ動くの嫌なんだよ」

 

「千円を渡すぐらい嫌だよ。とにかくさ、ケーキもあるし、始めていいか?」

 

「ちょっと待って、何が始まるかわかんないけど、その前にトイレ貸して?」

 

「いいよ。あ、たぶん今かーちゃんが風呂入ってると思うから、気をつけて」

 

「またかよ。何でいつも時間かぶるんだよ? ていうか、何でお前んち脱衣所がないんだよ」

 

「知らねぇよ、そんなの。大丈夫、足音が聞こえたら出てこないから」

 

「お前のかーちゃん忍者かよ。マジで鉢合わせとか勘弁だから」

 

***

 

「で? 何が特別なの」

 

「あぁ。今日は、引退式なんだ」

 

「引退式? 何の?」

 

「ラジオ投稿。俺、ずっと投稿してたじゃん。中1の夏から、今年で丸々3年。それ、今日で引退すんの」

 

「え? ラジオ投稿の引退式?」

 

「うん」

 

「お前の?」

 

「うん」

 

「何? 俺がそれに付き合わなきゃいけないの」

 

「うん」

 

「なんで?」

 

「いや、付き合わなきゃいけない訳じゃないけど、丸々3年やってきたし、こういう形にしたほうが区切りがつくかなぁって思って」

 

「え? 勝手に辞めればいいじゃん。俺、関係なくない?」

 

「お前は俺の数少ない友達だろ? 明日は学校ないし、バイトも入ってなくて暇だろ? てか、絶対に暇だろ。協力してよ」

 

「確かに、暇だよ。何の予定もないよ。でも、お前のラジオと関係ないだろ?」

 

「そうなんだけど、頼むよ。ケーキ食べていいからさ」

 

「お前が食えないだけじゃん」

 

「麦茶もいれてきてやるからさ」

 

「いいよ、麦茶は。お前んちのマズイし。分かったよ。分かったから、俺のファンタ飲むなよ」

 

「マジで感謝する。お前は心の友だよ」

 

「なに、ジャイアン? で、何で引退すんの?」

 

「1枚も読まれなかったんだよ。3年間、毎週投稿したんだぜ。才能ないんだよ。だから辞める」

 

「ふーん。1枚も?」

 

「1枚も」

 

「ちゃんと切手貼ってたの?」

 

「あぁ、バッチリ貼ってたよ」

 

「へー。そんなもんなのか」

 

「あぁ、そんなもんだ」

 

「そんで、引退式って何すんの?」

 

「もう全部用意してある。これ、お前が引き受けてくれると思って、ちゃんと台本を作ったんだ。お前はこれ通りに読んでくれればいいから。俺はその進行に合わせて音だすから」

 

「俺がこれ読むの?」

 

「そう。お前は、パーソナリティー役。音はもう準備してあるから、その紙にあるバッテンマークの所は、声を出さないでね」

 

「なんか想像してたのと違うんだけど。えー、降りていい?」

 

「ダメだよ! 1回オッケーしたんだから、やり通してよ。お前がここで俺のラジオネームと投稿を読んで、初めて俺の3年間が報われるんだから」

 

「知らねぇよ! 巻き込むなよ」

 

「ほら、合図入ったから待ったなしだ。オープニング流すぞ」

 

「誰が合図出してんだよ。ほら、お前が変なことやろうとしてっから、猫が畳でツメ研いでんぞ」

 

「いいんだよそんなの。ほら、巻き入ってるから行くぞ! はい、5、4、3、2、…」

 

「え? あ、スズムラカツヤのオールナイトニッポン……おい、ちょっと!」

 

「なに? 何で止めんの?」

 

「お前、いま『ニッポン』のとこで変な声出しただろ? 『にっぽぉ〜ん』って」

 

「エコーだよ、エコー。お前ラジオ聴いたことないのかよ」

 

「奇声だよ、あれは。エコーじゃないだろ。お前のかーちゃん、何か疑うぞ」

 

「音のことは気にすんなよ。この部分は、エコーがかかんの。こんなペースでやってたら終わんないよ」

 

「お前が終わらす気ないんだろ」

 

「いいから、気にすんなって。よし、キュー出すから、もう止めんなよ。3、2、…」

 

「あ、スズムラカツヤの……フッ…ハハハッ! ちょっと、おい! 無理だって!」

 

「何だよ、何なんだよ! 真面目にやれよ!」

 

「それはこっちのセリフだよ! 何なんだよ、さっきから。合図出す度に、そんなに酸っぱい顔する必要あるか? 確実にワザとだろ?」

 

「酸っぱい顔? ふざけんな、これは真剣な顔だよ」

 

「真剣に梅干し食った顔する奴がどこにいんだよ。お前、相撲の取り組みの時に、酸っぱい顔の力士を見たことあるか?」

 

「あるよ。基本、みんな酸っぱい顔だろ」

 

「酸っぱいわけねぇだろ! そんな力士いねぇよ!」

 

「いたんだよ。前頭から4番目くらいの奴」

 

「4番目くらいの奴って。お前、相撲なんか見ねぇじゃねぇか」

 

「見ないだろ普通! アンコ食わないのと一緒だよ! 逆に、何でお前はその歳で力士に夢中なんだよ。どうかしてるよ」

 

「相撲は男のロマンなんだよ! もういいよ、相撲の話は。あのさ、今気づいたんだけど、この紙に書いてある、ここ。タイトルコール後のフリートークってあるけど、何これ?」

 

「あぁ、そこ? 書いてある通り、フリートークだよ。何でもいいから、ちゃちゃっと話してくれないか?」

 

「ちゃちゃっとって、無理だろ。話すことなんかねぇよ。あー、面倒くせぇ。やめる! もう、やめる」

 

「待て、待て! そこを何とか頼むって。マジで何でもするからさ。じゃあ、これ。お前が大好きな、タニザキアカネの切り抜き集。1週間貸してやるから。これ、マジで奇跡の書だぞ。これスクラップすんのに、どんだけ時間がかかったか。だから頼む。この通り!」

 

「なにこれ? 全部お前が作ったの? お前、頭おかしいよ。マジで貸してくれんの? 本当に? じゃあ、やる。全然やる」

 

「オッケー、交渉成立。そうと決まれば時間がないんだ、すぐいくよ。はい、3、2、…」

 

「……また……はい。スズムラカツヤのオールナイトニッポン。えぇー、夏ですね、夏です。暑いです。スイカをね、食べました。2切れ食べました。えぇー、あとですね、かき氷も食べました。あ、味はメロンですね。それから……」

 

「おぃ! カット、カット! なにそれ? 小3の絵日記? ラジオなめてんの? 感情が何にも伝わらないよ」

 

「伝わるわけねぇだろ! いきなりフリートークって言われても、何も出てこねぇよ。やっぱ、無理。やめる」

 

「弱音吐くなよ! やれば出来るって。じゃあさ、俺がお題出すから。んー、じゃあ、稲刈り。稲刈りでいいや。何でもいいからさ、稲刈りに関してバァーっと盛り上げて喋ってよ。テンションマックスって感じで」

 

「は? 何で稲刈りなの。ていうか、稲刈りで盛り上がる奴なんかいねぇだろ。もしいたら、そいつ狂ってるよ。時期もムチャクチャだし」

 

「ブーブーブーブー、文句ばっかだな。ラジオに時期は関係ないんだよ。いるんだよ世の中には、稲刈りで我を忘れる奴が。イメージしろよ、イメージ。これ成功出来たらさ、アカネちゃんの出演番組だけをダビングした奇跡の波動を貸してやるから」

 

「え? お前、そんなの持ってたの? マジで? じゃあ、結構前にやってたポッキーのCMも入ってる?」

 

「つぶつぶ苺のやつだろ? もちろん、収録済みだよ」

 

「うそ? あれ、期間限定だったやつだぞ。 本当に入ってるんだな?」

 

「変態に、二言はない」

 

「マジか? あんた神だ! 分かった。出来る限りテンション高めにやってみる」

 

「よし、それでこそ俺の幼馴染だ。オッケー。敬語は使うなよ、テンションマックスな、じゃあ、いくぞ。3、2、…」

 

「す、すっずむらかつやのぉー、オールナイトニッポンっ! えぇー、始まったね! もぅ、始まっちゃった! 俺はね、稲刈りが好きダァー!!! 稲刈りがぁ、好きなんダァー!!! もぅ、刈りたい! 是非とも刈りたい! 刈らせてくれるなら、お餅あげちゃう! とっておきのを、3っつ! 3っつもあげちゃうんダァー!!! 稲刈りぃ、ばんざぁーいっ!!!」

 

(アキヒサ! ちょっと来なさい!)

 

「やべっ! かーちゃんメッチャ怒ってる。おい、お前テンション上げすぎだよ。それ、テンションマックスっていうか、イってるよ。稲刈り中毒だよ。怖い、怖い。完全に、稲刈りに取り憑かれてるじゃん。あー、もーしょうがない。とりあえず俺、かーちゃんに謝ってくるからさ、ちょっと桃鉄でもして待ってて。戻ってきたら、絶対再開するから。まだ俺のラジオネームも、爆笑間違いない投稿も読まれてねぇじゃねぇか。ふざけんなよ、お楽しみは、これからだからな」

 

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全部ひっくるめて、楽しい

触れようと、もがく

創り出そうと、もがく

そうやって

グシャグシャになってするもがきは、楽しい

 

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ソファーで寝落ちして、朝を迎える

 

鳥がさえずる前に、ネコが顔を踏む

 

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コーヒーをいれていると、ネコが足を踏む

 

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頭と背中が重いけど、楽しくって仕方がない

 

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日常が肩を叩き、尋ねてくる時がある

 

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自分の先を、考える事がある

 

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でも、自問の末に飛んでいく

 

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内側が騒ぐ

過去が声を上げる

 

耳を貸そうと近づくと

森の中に引き込まれる

 

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胸焼けが襲う夜もある

それでも

楽しさが込み上げる

 

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首を這ってくる欲よりも

もっと強く突くのは

喜び

 

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登場人物が独りで歩き

思いもしなかった景色をくれる

好き放題する彼らをまとめて

迷わないように道を作る

 

そうして出来上がった喜びは

何物にも代えがたい

 

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誰に頼まれたわけでもない

名前も全く売れていない

けれども

楽しいから、書く

胸が躍って嬉しくて

また、新しいドアを開ける

 

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薄暗い中で手を振るけど

読んでくれる人がいる

想いをくれる人がいる

 

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それは

僕を照らす光

気持ちを繋ぐ宝物

 

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有難い出会いがあった

 

言葉でスイングして

力強くハイタッチした

 

会った事もない人

存在すら分からない人

 

元の姿で投げた球を

バックスクリーンに叩き込んだ

 

スタンドが俄かに活気付く

 

楽しくって仕方がない

 

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今日も変わらずイスに座る

 

2回目のコーヒーをいれ

底を目指して潜り込む

 

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息が切れて真っ暗になる

 

でも

 

ネコ達がいる

 

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居場所がある

 

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僕は一人じゃない

 

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***

 

応募締め切りは2月末

次の世界は、ロードムービー

 

橋はかかるか

かからないか

 

例えその先に渡れなくても

ストーリーは続いていく

 

全部ひっくるめて楽しいから

想像は終わらない

 

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電波の縁に、最大限の感謝

合掌

 

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瞬間をください

何色でもいい

見た目はそれほど重要じゃない

 

変な服を着たっていいよ

君がそれを好きならばね

 

待ち合わせは駅の前

 

遅刻した埋め合わせは

ハーゲンダッツでいいかな?

 

髪切った?

え、切ってない?

 

ごめん

ごめん

 

セットが面倒なら

思い切って短くしちゃえば?

別に金髪にしたって驚かないよ

似合っても似合わなくても

君が好きならそれでいい

 

バスに乗ろうよ

たまにはいいじゃない

 

友達の話とか

無理にしなくてもいいよ

人付き合いが苦手なのは

僕も同じだから

 

ねぇ

猫ってさ

夜明け前に2回鳴くよね?

ずっと考えていたんだけど

あれはきっと

彼らの「おやすみ」なんだよ

 

1回目は僕に言って

2回目は自分に言ってる

 

本当のところは分からないけど

そう考えてから

夜更かしの回数は減ったんだ

 

ねぇ

いま全く聞いてなかったでしょ?

視線が宙を舞ってたよ

 

例えそうでも構わない

君と居られるならそれでいい

 

くだらない話の埋め合わせは

フラペチーノでいいかな?

 

あのさ

遠足の前の日って

何を思った?

 

楽しみだった?

それとも嫌だった?

 

僕は

正直怖かった

 

何もない毎日だったから

めいっぱい期待して怖かった

 

特別が終わった後の日常は

色が更に薄くなるでしょ?

 

それがとにかく怖くてね

 

「期待」ってさ

何で恐れを連れてくるんだろうね

 

執着が出るから?

終わりが見えるから?

 

今だってそうだ

 

変わらず勝手に期待して

懲りずにひとりで怖くなってる

 

ちょっと待って

 

急で悪いけど

次で降りよう

 

うん

分かってる

 

この場所は

あんまり好きじゃないんだよね

 

僕だって同じだよ

でも

ここで話がしたいんだ

 

 

この場所も建物が増えたね

 

ほら

あそこのコンビニ

覚えてる?

ずっと前は酒屋でさ

あの裏に

雑木林があったでしょ

 

雑草を掻き分けて右に曲がると

大きな石が横たわっていた

いや

お墓じゃないよ

ただの大きな石

でも

何か変でね

たまたま置かれているようには見えなかった

 

大丈夫

怖い話じゃないよ

 

とても不思議だった

何故だか気になって

暇があれば足を運んで

ずっとその石を眺めてた

 

あの石

何処に行っちゃたんだろうね

誰もワケを知らない石

あれは一体

何だったんだろう

 

 

生活にあった不思議って

どんどん無くなっていくよね

 

よく分からない穴だとか

空き家に灯る明かりだとか

あんなに存在感があったのに

手品みたいに一瞬で無くなる

 

きっと

衣替えする街と同じで

順番に布をかけられて

綺麗さっぱり消えていくんだ

 

そうやって

嫌な思い出も

消せたらいいのにね

 

 

帰れなかった校庭で

君は何を見ていた?

 

帰れなかった校庭で

僕は瞬間を見ていた

 

続くものが嫌だから

瞬間だけを見つめていた

 

ずっと考えていたんだけど

過去を許すのって

起きた事を許すって意味じゃないんじゃないかな

 

受け入れるのは

痛さや怒りを飲み込んだ自分

迎えに行くのは

置いてけぼりで放ってた感情

 

もちろん簡単なことじゃない

 

一緒に生きてきた思いは

体の一部になってるからね

 

この街が嫌いでしょ?

ここで過ごした記憶も

好きになれないもんね

 

 

あのさ

これ

 

包装紙は破っていいから

中身を見てくれないか?

 

前に言ってたサイズは

確か8号だったよね

 

希望に添えたか分からないけど

広告の裏に描いてたデザインに

何とか近づけてみたよ

 

 

差し引きゼロにしたいんだ

欲を言うなら少しプラス

 

記憶も

この街も

 

「嫌い」に「好き」を足して

よく混ぜてから引き算して

最終的に

ちょっと「好き」が残る

 

そうしたいんだ

 

これは君のためと

本当言うと

僕のためでもある

 

 

瞬間をください

 

永遠の約束なんていらないから

 

瞬間をください

 

僕がその中に永遠をみるから

 

決して終わることのない

 

瞬間をください

 

 

ちょっと待って

 

いま来るバスに乗ろう

 

ごめん

ごめん

 

急なのは分かってる

でも

とりあえず行こう

 

もうすぐ7時になってしまう

 

チンタラしていた僕が悪いんだけど

君が大好きで仕方がない

ビーフシチューがのってるオムライスの店

もう予約してあるんだ

 

さっきの質問の答えは

そこで聞いてもいいかな?

 

それまでに

僕の期待は消しておくから

 

続きを思って怖くなる

無駄な期待は消しておくから

 

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夏をやってない

ハッとして目を覚まし

通りに近い窓を開ける

 

緑を覆う色あせた枯れ葉 

喉に飛び込む息は冷たい

 

薄く横に伸びる雲

縦に登れず空を這う

 

確かにここにあった夏

それなのに

僕は夏をやってない

 

バケツに飛び込む手持ち花火

生み出す音が夜を鎮める

 

咲き終わりに残る白いライン

暗闇に写す向日葵の花びら

 

もう 

何年見ていない?

 

市営プールの帰り道

夕焼けに交わる塩素の匂い

 

天に浮かんだ五色の曼荼羅

オレンジの雲は何にでも化ける

 

灰色へと続く通学路

遠くに見える工場の煙

 

もう

何年帰っていない?

 

特別が日常になり

御馳走への距離が縮まる

 

不便や貧困を崇めない

でも

スイカに種があったっていい

 

僕は夏をやっていた

 

一人でいても

家に帰らなくても

 

僕は夏をやっていた

 

夜明け前に飛び出す国道

車の列をやり過ごし

瞬間を逃さずシャッターを押す

 

大した写真は撮れてない

それでも

そこには夏があった

 

制服を着替えて家を出る

目指す先はデパートの屋上

 

夕陽に幕が下りたなら

蛍光灯がその目を覚ます

 

出っ張ったコンクリに足をかけ

ビルを使って描く地図

 

あんなに頭を乱されて

あんなに体を取られた街が

小さくなってひかり輝く

 

現状は何にも変わらない

それでも

そこには夏があった

 

僕は座ってた

 

拝殿の裏に

高架下の隅に

 

僕は見つめてた

 

底に沈む金魚を

干からびたカマキリを

 

扇風機に押されて歌う風鈴

宙に響く祭りの太鼓

 

確かにそこにあった夏

 

収まらない感情の避難所 

それが僕の夏だった

 

ネクタイを締めて夏が消えた

お金と引き換えに夏が消えた

 

いや

 

そんなことはない

 

僕が夏を消した

 

言い訳ばっかり口にして

 

僕が夏を消した

 

***

 

休みを取った

 

ドリンクホルダーに炭酸を入れ

アスファルトを三時間踏んだ

 

土砂降りの後に赤が出て

黄色と混ざって青黒になった

 

寄り道をして超えた坂

ひらけた先に夏があった

 

気温五度の温水プール

十二年間を肌で取り込む

 

大好きな逆立ちをした

誰もいないのをいいことに

気の済むまで逆立ちをした

 

耳に水が流れ込み

感覚が狂って夏になった

 

もう若くはない

 

何が必要で

何が不要か

 

心が求めてるものしか欲しくない

 

人目を気にして震える代わりに

夏を残して奥に潜ろう

 

比べて鼻を伸ばす代わりに

残した夏で想いを繋ごう

 

進んで行きたい道がある

余計なものはもういらない

 

取捨選択して始める引き算

 

執着ばかりで埋まった容量

腰を下ろして紙に書き出す

どれだけ記憶を削っても

戻った夏は二度と消さない

 

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「生きづらさ」というクソッタレ

難しい表現はいらない

簡単な言葉で伝えてくれ

 

物言わぬ羊の飼育法

それが道徳の正体か?

 

出来る限りはやってきた

疑問を持たずにやってきた

 

モラルが楽園を作るんだろ?

じゃあ

何でこんなに生きづらいんだ

 

いじめに対して声を上げ

標的にされたら世話がない

 

記憶に彫られた墨が消えずに

誰かの言葉に反応する

 

手のひら返しがチラついて

真正面から人を見れない

 

善人

悪人

善人

悪人

 

人様の背中にシールを貼り

目線の動きを確認する

 

バカみたいに勘ぐって

バカみたいに夜を明かす

 

ひねくれた考え

歪んだビジョン

どうしようもないと言われても

望んで選んだ訳じゃない

 

進化の早いメトロポリタン

過去に構ってはいられない

 

若気の至りという魔法

人の親になり時効成立

 

よくある話なのは分かってる

でも

そんな世の中クソ食らえだ

 

「気付いた人がやりましょう」

植えつけられた暗黙のルール

黙ってなぞって生きてたら

他人のケツばかりを拭いていた

 

街に転がる無関心

見過ごせないのは良心か弱さか

能面を付けて顔を消しても

夜中に懺悔が背中をつつく

 

葛藤に名前が付けられて

施される無機質な錠剤

直径6ミリのクリアホワイト

それが世界を救うのか?

 

ブランディング

階級付け

幸福のサンプル

 

同格上で追い求める

勝ち負けの境界線

 

もういいんだ

 

幸せのテンプレートはいらない

 

明るい家族に尊敬と絆

 

もういいんだ

 

勝手に形を決めないでくれ

 

十人十色の四角い社会

枠に外れてどこへ行く?

 

交われなくても構わない

ただ

収まれなくても終わりじゃない

 

正しい知識

綺麗な身体

適切な関係

楽天的思考

 

それが理想なのは分かってる

でも

そんな世の中クソ食らえだ

 

誰かが誰かを監視して

目隠ししたまま「違い」を正す

 

受け継がれてきたお家芸

今日も集団が個体を叩く

 

姿を見せないスリーピーホロウ

顔を出さなきゃ無敵のままだ

 

暴言

嘲笑

難癖

詭弁

 

電波を使った鬱憤晴らし

今夜もぐっすり眠れそうかい?

 

感情を潰す匿名社会

よくある話なのは分かってる

でも

そんな世の中クソ食らえだ

 

まかれた餌は恐怖心

ブレットが生み出す猜疑心

広がる憂いの包囲網

出来すぎたドラマの完成だ

 

画面越しの審判者

「戦争 戦争」と威勢がいいな

こんなに風が吹いてたら

さぞかし炎は燃えるだろうな

熱は思いを吸い寄せる

でも

あなたは暴力を知っているのか?

無情な痛みと消えない怖さ

本当に知ってて言っているのか?

 

派手に揺れてたなびく焔

遠くからでもしっかり見える

恐れを潰して距離を詰めると

そこから熱さは感じない

震える両手で真紅に触れても

左右の指はただれない

そりゃそうだ

一歩下がって見て欲しい

そこにあるのは幻だ

 

鳴りやまないアジテーション

首を絞めるレギュレーション

生きづらさというクソッタレ

蜘蛛の糸は垂れない

 

静かに漂う閉塞感

空気を求めて底を彷徨う

 

酒を浴びるか

ギャンブルに溺れるか

セックスに耽るか

ウィードを巻くか

 

どれにも興味が持てないから

とにかくもがいて生きていくよ

 

追いかけ続けた黄金郷

そんなものは見当たらない

弱さを売って探したメシア

どうやら存在しないらしい

 

ならば選択の余地は無い

どうにか足を動かすだけだ

 

生きづらさが街を埋めても

歩く先は光の方

クソッタレが空を埋めても

もう暗闇へは戻らない

 

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友への伝言

思えば不思議な関係だった

普段は口もきかなかった

 

チャイムの合図で狩られる時間

終わりは意味を成さなかった

 

暗い階段の途中に射す光

窓から覗く中庭に射す光

 

同じ校内で息をしても

そこに楽園はなかった

 

お前はいつも下を向いて

指のささくれを取ってた

 

俺はいつでも下を向いて

ただれた皮膚を摩ってた

 

適当に生み出し与えられた

滑稽で汚れたニックネーム

俺たちは3年契約のピエロ

特徴なんていらなかった

 

「どうだった?」

「今日はマシだった」

 

「どうだった?」

「今日はヒドかった」

 

僅かに重なる入れ違いの瞬間

俺たちは中庭を見ていた

 

魂と引き換えに学期を買って

春夏秋冬を過ごした

 

流れる風景と留まる想い

俺はお前を救えなかった

 

裂ける傷口と閉じる瞳

俺は俺をも救えなかった

 

消えずに浮かぶ

放課後のパレット

 

お前もその色を見ているか?

今でもその色を見ているか?

 

俺たちはみんな犯罪者

自分殺しの常習者

 

腫れた悪意を壁に投げつけ

弾けた黒をその身に浴びた

 

俺たちはみんな犯罪者

自分殺しの常習者

 

囲った怒りに飯を食わせて

その身を喰われた木偶の坊

 

仕舞い忘れた激情は

心の残骸と化したか?

 

重ねた年と巡った記憶に

背中を潰されてはいないか?

 

残像

残像

残像

 

大丈夫

ただの幻だ

 

迷走

迷走

迷走

 

大丈夫

どれも正解だ

 

ハローCQ

応答せよ

 

これは友への伝言だ

 

ハローCQ

応答せよ

 

今夜も上手く眠れないか?

 

長かった夜は無駄じゃない

空白の期間も無駄じゃない

生きづらさの迂回路は

自己確立への近道だ

狂った物差しとビジョンは

天から授かったギフトだ

 

時効を持たないコールドケース

犯人探しはもうやめよう

 

悪いのは傍観者でも

色褪せた無関心でもなく

ましてや弱い心でもない

 

どんなに影が迫っても

手を下すのは俺たちじゃない

トリガーの代わりに辞書を引こう

 

芸術とか文学とかどうでもいい

名前は後から付ければいい

俺たちが出すのは感情だ

ひっついて離れない映像だ

 

飛びたくなければ

飛ばなくていい

黙っていたいなら

話さなくてもいい

 

俺が言葉を綴るから

文字で気持ちを報うから

 

ハローCQ

応答せよ

 

これは友への伝言だ

 

ハローCQ

応答せよ

 

お楽しみはこれからだ

 

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